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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
槌矛-ふたつめ-
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ないです。お兄ちゃんの頼みを受けてここまで持ってきてくれた…優しい人なんです。」

泣いていた女の子が涙を拭いながら、男にそう説得する。

「お兄ちゃん…まさか湊か?」
「はい…きっと。」

女の子から話を聞き、男達はようやく俺達のことを怪しいものでは無いと理解をしてくれた。

「そうか…わざわざありがとう。ついてきてくれ。」

じきに日も暮れる。
男達はそう言うと一際大きな家の中へと入っていった。

?

それから、

「そうか…湊が…。」

教えてもらったことだがあの荷物を届けようとした男の名前は花江 湊。
そして最初に出会った女の子の名前は花江 渚。湊の兄だという。
俺なら話を聞き、湊が死んだことを悟り渚という子は思わず泣き出してしまったんだ。

「疑って申し訳ない…何せここ最近は追い剥ぎや強盗まがいの人間も多くてな。」
「いえ、なんてことないですよ。」

詰め寄ってきた男達が頭を下げる。
しかし…

「あの…あの子は?」
「渚のことですか?」
「はい。やっぱりお兄さんを失ったので…精神的に不安定なんじゃないかと…。」

あの子のことが心配だ。
物資が来てくれてここのみんなは大喜びだが大きすぎる代償と言うべきか、彼女の兄は死んだのだ。

「いえ、大丈夫です。」

そんなことを心配していたら、本人がやってきた。

「皆を楽させてやるって突然出ていって…それからもしかしたらと前々から覚悟はしてましたから…。」

とはいっても赤くなった目、いかにもついさっきまで泣いてましたと言う感じだ。
心の整理がつかないのも無理はないだろう。

「それに…こうして荷物が届いたんですからお兄ちゃんも天国で喜んでますよ、きっと!」
「…。」

無理をして作ったかのような笑顔。
妙にそれは心に突き刺さる。
でも…

「本当に…ありがとうございます。」

荷物を届けた。
お礼を言われると、やはりやり甲斐というか達成感みたいなものはひしひしと感じる。

「大和くん。」
「?」
「ニヤけてるけど。」
「え、うそ!?」

どうやら顔に出てたらしい。

「こちらからもお礼を言わせて頂きます。この御恩…どう返したらいいか…。」

おそらくリーダーであろう男が深々と頭を下げお礼を言う。
俺は別にこれくらいいいですよと彼らの恩返しをやんわり断ろうとしたが

「そうね…実は寝るところに困ってまして!!」
「武蔵ちゃん!?」

彼女が割って入った。

「ご飯も満足に食べれてなくて明日をも知れぬ身!ここはどうか一つ、一晩だけでも泊めて貰えないでしょうか!あと出来ればごはんも!」

あ、厚かまし過ぎる…!

「いや、武蔵ちゃん。ご飯は今朝食べ」

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