暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第61話:押し上げる者と飛び立つ者
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珀メイジの数が半分ほどに減っていた。それだけでクリスの怒りの攻撃の苛烈さが伺える。
 それに自分から飛び込もうと言うのだから、もう笑うしかない。

 駆ける3人に、クリスの攻撃が襲い掛かった。それを奏は、アームドギアを盾にして防いだ。

「ぐぅぅっ!?」
「クリスちゃん!? 落ち着いて!!」
「駄目だ、立花! ここからでは雪音に声が届かない、もっと近くで!」

 奏の姿も分からないのか、近付いてくる奏に集中して攻撃をするクリス。奏はアームドギア越しに腕に響く衝撃に顔を顰めるが、ここで足を止めては透の覚悟が無駄になると足を動かし続けた。

 そして遂に、駆使るのすぐ目の前まで到着する。

「響ッ!!」
「はいッ!!」

 ダメ押しにアームドギアをクリスに叩き付け、彼女の視界を一瞬だが奪った。その際に出来た隙に、響がクリスに抱き着き彼女を宥めに掛かった。

「クリスちゃん落ち着いて!?こんなのダメだよ!?」
「うるさい、うるさぁぁぁい!? 透、透ぅぅぅぅッ!?」

 響がクリスを抱きしめ必死に声を掛けるが、クリスは透の名を叫びながら暴れ続ける。抱き着いている為銃口が響やカ・ディンギルに向かう奏達に向く事は無かった。
 が、このままでは埒が明かないし振り払われてしまっては奏達の行動の邪魔になってしまう。

 どうすべきかと悩んだ響だったが、良い方法が思いつかなかった為思い切った方法に出る。

「〜〜〜〜ッ!? クリスちゃん、ゴメン!?」

 クリスに一言謝ると、響はクリスの顔に平手を叩き込んだ。それも一発ではなく二発だ。その衝撃と頬に走った痛みに、クリスは正気に戻り銃撃を止める。

「ッ!? え、あ……え?」
「クリスちゃん、落ち着いて! きっと透君は、こんなクリスちゃんを見たくないよ!」

 抱き着かれ頬を叩かれ、響の言葉は漸くクリスに届いた。
 だが落ち着きを取り戻したことで、今度は悲しみがクリスの心を覆いつくした。

「でも、だって!? 透、透がぁ────!?」
「クリスちゃん……」

 響に抱き着き咽び泣くクリスを、響は何も言わず抱きしめ返し頭を撫でる。今の響に出来るのは、それだけであった。

 響が何とかクリスを宥める事に成功している時、奏は翼をカ・ディンギルに送り届ける為立ち塞がるフィーネ・メデューサ・ヒュドラに挑んでいた。

 とは言え正直、クリスよりも厳しい。単に見境が無くなっていたクリスに比べて、あの3人は明確に2人を足止めしようとしている。しかも強さは良くて同等、最悪格上だ。
 無策で突っ込んで何とかなる相手ではない。しかも、限られた時間の中で突破しなくてはならないときた。

──こんな時、颯人なら……──

 颯人ならこの窮地をどう突破するだろうか
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