暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第61話:押し上げる者と飛び立つ者
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く、クリスちゃん?」

 自分に直接向けられている訳ではないと言うのに、背筋が凍るほどの怒りを感じて響の中に芽生えていた怒りが引っ込む。それほどクリスがジェネシスやフィーネに抱いた怒りは尋常ではなかった。

「お前らがぁぁぁぁぁぁッ!?!?」
「ッ!? 離れろ響!!」

 クリスが怒りの声を上げながら両手にガトリングを構えた瞬間、危険を察知した奏が響を引っ張った。直後、クリスはガトリングと小型ミサイルを見境なく発射して手当たり次第に破壊し始めた。

「クリスちゃん!?」
「落ち着け雪音!?」
「駄目だ!? 今のクリスにはとてもじゃないがこっちの声が届く気がしない。とにかく離れるんだ!?」

「あぁぁぁぁぁぁぁっ!! くそぉぉぉぉぉっ!?」

 奏が響と翼を引っ張ってクリスから離れている間にも、クリスは周囲のメイジを怒りのままに銃爆撃し続けた。滅茶苦茶な攻撃だが、その間も両目から涙を流している所に彼女の心の叫びが聞こえるようだった。

 巻き込まれないように距離を取り、状況を整理しようとする奏。しかしその彼女の目に、とんでもないものが飛び込んできた。

 なんとカ・ディンギルの砲口に再び光が灯り始めていたのだ。

「なっ!? 二射目ッ!?」
「そう驚くな。カ・ディンギルが如何に最強最大の兵器だとしても、ただの一撃で終わってしまうのであれば兵器としては欠陥品。必要がある限り、何発でも撃ち放てる。その為にエネルギー炉心には不滅の刃、デュランダルを取り付けてある! それは尽きる事のない、無限の心臓なのだ!!」

 自慢げに話すフィーネに、奏達は焦りを感じずにはいられなかった。折角クリスと透が防いだ月の破壊を、再びやられては今度こそ止められない。何とかして止めなくては。

 しかし暴れるクリスを放置する訳にもいかなかった。今も3人が隠れている瓦礫に何発も銃弾が命中している。怒りに我を忘れ、完全に見境が無くなっているらしい。
 あちらを何とかして止めなくては、カ・ディンギル発射阻止も儘ならない。

「こうなったら…………翼、響! アタシが道を切り開く。響は少しの間で良い、クリスを止めてくれ」
「わ、分かりました!」
「翼、カ・ディンギルを頼んでもいいか?」
「分かった!」

 2人の返事に奏はタイミングを見計らう。クリスは先程から見境なしに攻撃しまくっているが、攻撃自体は時計回りに体を回転させながら目に映るものを片っ端から攻撃しているように見える。ならば、クリスが背を向けた瞬間に動けば!

「! 今だ!!」

 クリスが背を向け、攻撃が途切れた。その瞬間、奏は響と翼を伴って瓦礫から飛び出した。目指すはクリスとカ・ディンギル。

 まず響をクリスの元へと連れていく奏が途中周囲に目を向けると、琥
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