警察官まで……
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少女の身を引き裂こうとしたその時。少女は、手に持っていた点滴スタンドで、ヒョウの怪人の腕を流した。
「で、できた……!」
その結果に、ほかならぬ少女自身だった。点滴スタンドの台部分が丸々剃り落とされ、見るもシンプルな鉄棒へと化した。
「よ、よおし……!」
彼女は勇んで、ヒョウの怪人に挑む。
一撃目。効果なし。
「まだまだ!」
二撃目。効果なし。
三撃目。
ここで、ヒョウの怪人は、少女の狙いに眉をひそめた。
少女の攻撃は、全て同じ、右胸の位置に当てられていた。
「まさか……」
四撃目。五撃目。何度も何度も同じところへ行われる攻撃は、重なればダメージにもなるのだろう。だが。
「危ない!」
攻撃に夢中で、少女は気付いていない。彼女の頭上から、ヒョウの怪人が顎一つで食らいつこうとしていることに。
「迅位斬!」
高速の可奈美は、瞬く間に少女とヒョウの怪人の間に回り込み、その左手を切り落とす。
「______________」
ヒョウの怪人の悲鳴。それに耳を貸さず、可奈美は彼の体を斬り裂いた。
ヒョウの怪人は、そのダメージで大きく後退。さらなるもう一太刀により、恭介たちからより引き離された。
「うわあ……」
漏れた声に、可奈美は振り向く。腰の抜けた少女が、こちらをキラキラとした眼差しで見上げていた。
「大丈夫? 無茶するね」
「だって、私ずっと剣に憧れていたんだから! やっと立てたんだから、ずっと考えていた技だって使いたいよ! ね、可奈美さん!」
「う、うん……ねえ、どこかで会った?」
「私だよ! 私!」
少女が目を輝かせた。
それを見て、可奈美は言った。
「もしかして……木綿季ちゃん?」
「そうだよ!」
病弱なはずの少女は、これまででは考えられない元気な肉声で答えた。
「治ったんだよ! 私の病気が! だから……」
「うわっ! ごめん!」
言葉を言う途中で、可奈美は木綿季、そして地面のさやかと恭介を抱え、飛びのく。腕を失ったヒョウの怪人が、狂ったように暴れだしたのだ。
「うれしいけど、それは後にしよう!」
可奈美が千鳥を構えると同時に、また動きが生じる。
「うおっ!」
さらに、奥の方ではバーサーカーがファントムへ重い蹴りを放った。それにより、ファントムがヒョウの怪人に折り重なるようになった。
「今だ!」
可奈美は腰を低くする。白から赤へ変わっていく。体外を巡る熱により、可奈美の全身より陽炎が揺らめいた。
同時に、バーサーカーが両手をまっすぐ広げる。そして、駆け出し、その右足を前に突き出す。___それは、可奈美
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