警察官まで……
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いでファントムの後に廊下に出た可奈美は、
「アマゾン!」
その叫びを聞いた。
同時に、全身をぶあっと熱気が襲い掛かった。思わず顔を背けた可奈美は、ファントムが襲おうとしていた人影___そしてファントムは、足に根が生えたように動きを止めている___の姿に、言葉を失った。
「燃えてる……」
炎上している、人の姿。それはゆったりと歩行しながら、その姿をハッキリさせていく。
腰。そのベルトに手をかけている状態の彼より、紅の炎がゆっくりと消えていく。そして現れたのは、数日前にも表れた、青いサーヴァント。ベルトのスイッチを押し、その右腕から黒い刃が生えてきた。
青いサーヴァントは、そのままファントムに斬り込む。
「うわわっ! こっち来た!」
ファントムはその刃を受け止め、可奈美の方へ受け流す。
「え?」
結果、サーヴァント___バーサーカーの目線は、可奈美へ移る。その勢いを殺さないまま可奈美へ牙を突き立てることから、敵と認識されたのは間違いない。
「へへっ……じゃ、あとは頼んだぜ! 俺はゲートを追わなくちゃいけねえしな!」
ファントムは「あばよ!」と手を振り、廊下を走り去ろうとする。可奈美はそのあとを追いかけようとするが、バーサーカーがそれを許さない。
「お? ほう……コイツはラッキー」
バーサーカーの刃を受け止めた可奈美は、ファントムのそんな声を聞いた。
ファントムの行先である廊下。そこに、さやかの姿があったのだ。当然、その背には恭介を負ぶっている。
「飛んで火にいる夏の猫。わざわざ絶望しに戻ってきたぜ」
「さやかちゃん! どうして?」
だが可奈美の心配をよそに、さやかはファントムを指さしながら叫んでいた。
「ほら! こっち! こっちです!」
その声に現れたのは、警官。中年の男性の彼は、まさに可奈美を追い返した、あの警官だった。
「な、何だ!? この怪物は!?」
初めて見たに違いない、ファントムの姿に驚く警官。銃を発砲するが、そんなものはファントムには通じなかった。
ファントムは退屈そうにあくびをし、ゆったりとした歩調で近づく。
「悪いなあ。俺、そういうのは効かないんだわ」
横殴りにより、警官の体が床を転がる。そのまま、一歩一歩と、さやかたちに近づいていくファントム。
そして。
「よ、よせ……やめろ……」
警官が、立ち上がる。ファントムが怪訝そうな顔をしているが、それでも警官は、異形の怪物を睨んでいる。
「んだよ」
「危ない! 下がってください! 私が!」
可奈美がバーサーカーと距離を置く。同時に、バーサーカーも目線を可奈美から、ファントムたちへ移した。
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