96 三たびの特訓
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されそうな通学用帽子を抑えた。
「今日は風が強いね・・・」
「うん・・・」
その時、男子用の通学帽が飛んできた。笹山がそれを拾う。
「はあ、はあ・・・」
そしてその帽子の持ち主と思われる男子が走って来た。藤木だった。
「あ、藤木君、おはよう!」
「あ、笹山さん・・・。おはよう。えへへへ・・・」
藤木は好きな女子に会えて思わずにやにやした。
「藤木君、朝から笹山さんに会えて嬉しそうだね」
「う、そ、そうかな・・・?」
藤木はとぼけた。
「もう、とぼけないでよ。行こう、はい!」
笹山は藤木に帽子を返して三人で学校へと向かった。藤木は帽子を飛ばされた時は自分は本当に運が悪いと思っていたが、笹山と会えて一緒に登校までできたので朝からいい事があったなと思うのであった。
「ところで笹山さんは独唱の部分自信ある?私、家でも練習してるんだけど、うまく行ったか心配なんだ・・・」
「ああ、それ、分かるわ。私はピアノもやってるからピアノで音取りしながらやってるの」
「え?そうなの!?いいなあ、私もピアノで練習できたらいいな・・・」
「よかったら今度の日曜、私の家で一緒に練習しない?」
「いいの?ありがとう!」
「そうだ、よかったら藤木君もどうかしら?」
「え?でも、僕は独唱しないし・・・」
「いいじゃない。自主練にもなるんだから。お菓子も用意するわ」
「笹山さん・・・。うん、ありがとう!」
藤木にはこれ以上のいい事があって嬉しく思うのであった。
放課後もまた3年4組の皆は合唱コンクールの練習を行う。かよ子はこの日の独唱部分は以前よりは声を響かせることができた。繰り返し、幾度も歌い直す。笹山も、大野も、独唱部分は上手く歌えていた。
「ハイ、皆さん、ズバリ、今日はそこまででしょう!お疲れ様でした!!」
五時になり、下校時刻となった。かよ子はまる子、たまえと下校することになった。
「かよちゃん、今日の独唱、上手かったねえ〜」
「うん、前より凄い声が綺麗だったよ!」
「あ、ありがとう、まるちゃん、たまちゃん・・・。それで今度の日曜、笹山さんの家で一緒に練習する約束してるんだ」
「おお〜、いいじゃない〜、笹山さんちは手作りのお菓子が食べられるからねえ〜。アタシも行きたいなあ〜」
「まるちゃん、かよちゃんは歌の練習をしに行くんだよ・・・」
「ああ、そうだったねえ〜」
かよ子は本番への意識を高めると共にいつ赤軍や異世界の敵が来るかそわそわするのであった。
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