第百八十話 プールサイドの対面その十三
[8]前話 [2]次話
「絶対にやったらあかんわ」
「ほんまやな」
芥川は中里のその言葉に頷いた。
「それは」
「何があってもな」
「したらあかん政や」
「そら一揆も起こるわ」
「民が生きていけんしな」
その為にというのだ。
「それが起こるわ」
「ほんまやな」
「中国やと万歴帝とか酷かったですね」
屈は明代のこの悪名高い皇帝の名前を出した。
「何も政せんと贅沢ばかりして」
「国を腐らしててったって言われてるな」
「明代はあまりええ皇帝がいませんが」
「その中でも特にやな」
「万歴帝は酷くて」
それでというのだ。
「国を腐らして滅ぼした」
「それだけの悪政したな」
「その後に魏忠賢っていうとんでもない宦官も出て」
その悪辣さでは秦の趙高に匹敵すると言われている、その性根は極めて邪悪で賄賂を好む暴虐の輩であった。
「そしてでした」
「明は潰れたな」
「そうした風にした皇帝です」
「そこまでの悪政やったな」
「はい、あの皇帝は」
「日本の島原藩よりスケールでかいな」
中里は屈と話してしみじみと思った。
「それは」
「一つのの藩と一国やと」
「全くちゃうわ」
「そんな悪政は絶対にしない、ですよね」
アマードがここで言ってきた、おずおずと。
「僕達は」
「当たり前や、島原藩の藩主なんてどうなったか」
「一揆の後で」
「島原の乱の責任問われてな」
それがあまりもの悪政が原因とわかってだ。
「それで斬首や」
「首を切られたんですか」
「大名やのにな」
「そういえば日本では大名は切腹でしたね」
「極刑はな」
「そうでしたね」
「それで忠臣蔵でもそうなった」
浅野内匠頭がというのだ。
「あの切腹も色々言われてるけどな」
「確か外でさせられたので」
「ああ、知ってるか」
「そう聞きました」
アマードは中里に答えた。
「僕も」
「そや、大名は室内での切腹が普通やのにな」
「外だったので」
「そら朝廷の使者迎える場で江戸城の中で刃傷沙汰起こしたからな」
「将軍も起こりますね」
「自分のお母さんの官位の話やったしな」
このことがあってというのだ。
「徳川綱吉さんめっちゃ怒ってな」
「それで、ですね」
「もう即刻切腹となったんや」
「そうしたことをしても切腹ですね」
「まあ綱吉さんは切腹させてやっただけでも感謝しろと思ったかも知れんが」
幕府の面子を完全に潰した事態を引き起こしたからだ、この事件がそうしたものであることは明らかだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「そこが問題になった、しかしな」
「島原藩は」
「もうあまりにも罪が重くてや」
それでというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ