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戦国異伝供書
第百十五話 孤立無援その十三

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「遂に武田家や上杉家、毛利家と雌雄を決する様じゃが」
「いよいよですか」
「公方様を追い出したが」
 政宗もこのことは知っていた。
「わしならすぐにな」
「その公方様をですか」
「お迎えする」
 都、そこにというのだ。
「そして管領にならせて頂く」
「そうお考えですか」
「久保様を追い出して次の公方様を立てておられぬが」
「それもですか」
「わしは出来ぬ、ではな」
「はい、三日後ですね」
「出陣する」
 ここでも酒を飲んで話した。
「その様にする」
「そうされますか」
「うむ、そしてな」
 それでというのだ。
「今はこうして酒をな」
「やはりそうなりますか」
「いかんか」
「やはりお酒は飲まれる時はですか」
「こうしてな」
 愛姫に笑って話した。
「飲むぞ」
「そうされますか」
「出陣前にな、そしてな」
 それでというのだ。
「出陣してからはな」
「飲まれませぬか」
「勝ってな」
 芦名家とのそれにというのだ。
「そしてな」102
「それからですか」
「この城に戻り」
「そこで、ですか」
「飲むとしよう」
「それまでは、ですか」
「飲まぬ」
 今宵は飲むがというのだ。
「そうする」
「そうですか」
「それは誓う」
 愛姫にこうまで言った。
「わしもな」
「左様ですか」
「では今宵は飲む、そして明日の朝はな」
「お風呂で、ですね」
「酒を抜く」
 起きてすぐのそれでというのだ。
「そして出陣前の仕事をする」
「わかりました、それでは」
「その様にするぞ」
 こう言ってだった、政宗は今は愛姫と語りながら酒を心ゆくまで楽しんで寝た、翌朝風呂から出た彼の顔は生き生きとしていた。


第百十五話   完


                2020・9・23
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