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リリなのinボクらの太陽サーガ
夜闇クライシス
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食されずに済むようになったのでしょう。

つまり私は将来、暴力沙汰になってたかもしれない症状を治療してもらったことになります。誰にも言えなかった私の苦悩を取り除いてくれた彼女には感謝してもしきれませんが、そもそも彼女に対してはなぜか実の親以上の親しみやすさを感じています。その上、月詠幻歌には妙な懐かしさも感じるので、私と彼女にはどこか強い縁があるのかもしれませんね。

「ん……」

シャロンさんがゆっくりと目を覚まし、既に起きていた私と見つめ合って数秒後……

「……すぅ」

「あ、あの……さらっと二度寝しようとしないでください」

「……。あいたたた、断空拳で殴られたお腹が〜……」

え……もしかして私、昨日かなり大暴れしちゃったんでしょうか? 実際、暴走している間の記憶は曖昧で、何をしてしまったのか全然覚えていません。もし暴走中に私が彼女を攻撃していたのであれば、今の私はあまりに恩知らずなのでは……!?

「だ、大丈夫ですか? 私のせいでしたら謝りますから、どうか……!」

「じゃあそのままじっとしてて」

「へ? は、はい? じっと……?」

訳も分からず私は布団の中で気を付けの姿勢を取ります。するとシャロンさんはすっと私の身体を両腕で抱き締め、

「よしよし……」

なぜか頭の後ろを撫でてきました。

「あ…………」

ドクン……ドクン……。

胸元に押し付けられている私の額から、シャロンさんの心臓の鼓動が伝わってきます。何故でしょう、まるで羽毛に全身を包まれているかのような居心地です。今まで感じたことのない感覚に戸惑いますが、この状況を表す言葉を思い返して気づきました。これは、母親の温もりというものではないかと。

考えてみれば私は、母親の愛情をよく知らないまま育ってきました。なんといいますか、私の両親はベルカの騎士らしい堅物と貴族主義が凝り固まった人達でしたので、親子としての時間はほとんどありませんでした。むしろストラトス家の格を維持するために女の私を利用しようとしていた節さえあります。なので私は、両親がアンデッドに殺されたと聞いても特に感情が揺れ動いたりしませんでした。親子と言えど他人、家族と言えど情は無い、私達はそんな関係でした。

だから……この暖かさは、私にとっては生まれて初めて味わうものでした。こんなに暖かいものを与えてもらっては、私の背伸びなんか、ただの児戯に過ぎません。

シャロンさんがどうしてこういうことをしてきたのか、私にはわかりません。ですが私は初めて、心の底から安心感を抱いたまま睡魔に飲まれ―――

「おっはよ〜! 朝だよぉ〜!!」

「あぁ……セイン、ディープダイバーでモーニングコールは心臓に悪いよ……」

「びぇええええええ!!?!?
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