第百八十話 プールサイドの対面その十
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「ほんまごつ、ですから」
「幕府を警戒して」
「秘密主義になってでごわす」
「言葉もですの」
「わからない様にしていたでごわす」
「そうでしたの」
「だから物凄くわかりにくいでごわす」
薩摩藩以外の者が利いてもだったのだ。
「そうだったでごわす」
「複雑な事情ですわね」
「何しろ清やオランダと密貿易もしていたでごわす」
「見付かったらお取り潰しなのです」
ターリャもこの話には驚いて述べた。
「とんでもないことをしているのです」
「だからでごわす」
「秘密主義だったのです」
「そうでごわしたので」
「言葉もわからなかったのです」
「そうでごわした」
「というか薩摩藩は罪人か」
シータも密貿易の話には驚愕を隠せなかった、カレーを食べる手も鈍っている。
「密貿易なぞ」
「全てはお金の為でごわした」
「お金か」
「薩摩藩は石高は高かったでごわすが土地は痩せていたでごわす」
「火山灰ばかりですからね」
このことは巴が指摘した。
「鹿児島は」
「桜島がいつも噴火して」
「だからですね」
「土地ば痩せていて石高七十七万石でも実は三十八万石位でごわした」
「半分以下ですね」
「それでも七十七万石の格式で動かねばならず」
それでというのだ。
「お金ばかかってしかも禄を出すべき侍が多かったでごわす」
「どれだけですか?」
このことはルイスが尋ねた。
「お侍は」
「五万いたでごわす」
「五万ですか」
「百万石の金沢藩で二万でごわしたが」
それがというのだ。
「薩摩藩は実質三十八万石で五万でごわした」
「それでは禄も多く」
「財政はいつも火の車でごわした」
「だからですか」
「密貿易もして」
そしてというのだ。
「砂糖を無理に作らせていたでごわす、あと年貢もかなり高かったでごわす」
「年貢はどれ位でしたか」
このことはテレサが問うた。
「一体」
「八公二民でごわした」
「八割ですか」
「そうでごわした」
「植民地統治みたいですね」
「実際に奄美ではプランテーションの如きでごわした」
サトウキビの栽培がまさにそれだったのだ。
「過酷でごわした、しかも藩主が贅沢だったりすると」
「尚更でしたか」
「借金ばとんでもなかものになりもうした」
その額五百万両となった、当時人が一年暮らすには十両と言われていたがその時代においての五百万両だった。
「それは踏み倒しもうしたが」
「それは酷いですね」
ダーガーは即座に突っ込みを入れた。
「重税に搾取にそれとは」
「一応年二万両ずつ払うことにしましたが」
「二百五十年ですか」
「維新の時に踏み倒しもうした」
完全にそうしたのだ、薩摩藩がなくなったので。
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