第百十五話 孤立無援その三
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「刀も馬も宝も」
「茶器も」
「使う、そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「取り込むぞ」
「それでは」
「わしのことはわかっておろう」
政宗は自身の弟に笑って問うた。
「そうであろう」
「はい、戦は厭いませんが」
「それでもであるな」
「戦をせずにものが手に入るなら」
「それでよい」
「だからですな」
「そうじゃ」
それでというのだ。
「ことを進める」
「左様ですな」
「だからな」
「田村家もですな」
「そうする、ようやく陸奥まで勢力を及ぼしてな」
「白河の関から北も残るは芦名家のみ」
「そうした状況になったのじゃ」
だからだというのだ。
「田村家もな」
「完全に手中に入れますな」
「そうする、ではよいな」
「すぐにですな」
「巻き返しに移るぞ」
こう言って実際にだった。
政宗は多くの銭や他のものを使って田村家への調略を強めてそうして自分が望む者を田村家の主とした。
それが終わってからだ、政宗は今度は片倉と成実に話した。
「田村家も入った、これでじゃ」
「残るは会津の芦名家」
「あの家だけとなりましたな」
「ではですな」
「これより」
「攻めるとする、しかし」
ここで政宗はこうも言った。
「叔父上がな」
「どうも織田家と誼を通じ」
「織田家を公儀と認めて動きだした様ですな」
「そして佐竹家も」
「そうしてきましたな」
「しかもどちらの家も上杉家とも結んだな」
越後のこの家もというのだ。
「上杉殿は関東管領、東国の公儀じゃ」
「その上杉家が我等に言うなら」
「嫌なことになりますな」
「上杉家は敵は多いが」
甲斐の武田家、北陸の一向一揆、関東の北条家とだ。それに越後の北の国人達にも手を焼いている。
「しかしな」
「それでもですな」
「その上杉家が我等に向かえば」
「その時はですな」
「我々としては」
「上杉殿はあまりにも強い」
謙信、彼はというのだ。
「わしも戦えばな」
「その時はですな」
「負けますな」
「そうなる」
間違いなくというのだ。
「だからな」
「それで、ですな」
「我々としては」
「上杉家と戦うことはですな」
「問題ですな」
「そうじゃ、今当家の周りは敵だらけじゃ」
そうなっているというのだ。
「最上家に佐竹家にな」
「上杉家ですな」
「そして織田家も」
「もう一向一揆はあらかた倒してな」
そしてというのだ。
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