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魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第268話「本番開始」
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καταφ?γιο(カタフィギオ)

 詠唱の必要はない。これは、四人の意志表示だ。
 その“意志”が結界に同調し、仮の“領域”と化す。
 そこに理屈や理論はなく、ただ“意志”のみでその効果を発現させた。
 それは、最早事象の創造だ。

「我や黒羽共が個々で展開した所で、さすがに複数の神に勝てるなど到底思っておらぬ。だが、我らの“意志”を束ねれば、その限りではないであろう」

「……それなら、あたしらも一緒にやった方がいいんじゃねーのか?」

 四人の様子を、戦闘準備しながらも見ていたヴィータがついそう呟く。

「たわけ。四人に絞ったのは我らが飽くまで後方支援だからだ。前衛で直接戦う者にさらに負担は課せぬ。貴様らは、ただ目の前の敵を倒す事に集中すればよい」

「要は役割分担よヴィータちゃん」

「……わかった。最後の砦を任せるって訳だな。攻撃はあたしらが中心って事か」

 ヴィータもベルカの騎士だ。
 何が重要で、何をすべきかなどはすぐに理解できた。
 周りも、それぞれどう立ち回るかを改めて考え、戦闘準備を終わらせる。

「さて、出来る限りの術式は仕込んだが……これの内、どれくらいがまともに機能してくれるやら……」

「半分機能すれば上場だろうな。奴らの殲滅力を前に、ただの魔法術式程度では気休めにしかならないだろう」

「……だろうね。ディアーチェ達の結界と違って、全部に“意志”は乗せられない。シグナムの言う通り、半分残れば良い方……か」

 仮の“領域”と化した空間内には、夥しい程の魔法術式が刻まれていた。
 しかし、そのどれもが普通の魔法によるものだ。
 いざ戦闘が始まれば、ほとんどの術式が発動する前に消し飛ぶだろう。
 クロノもそれをわかってはいたが、ないよりはマシだと判断し、仕込んでいた。

「なまじ、術式ばかり仕込むよりも“意志”の再確認の方がいいかもな」

「……そうね。私達の場合、それもいいかも」

 光輝と優香も、それぞれ自身の“意志”を再度固める。
 割り振られた役割を全うするため。
 そして、自分達の子供が、ちゃんと帰ってこられるようにするために。

「結局は、そこに集約されるな」

「変に複雑に準備するよりわかりやすいよ」

「……そうだな」

 時間は緩やかに過ぎていく。
 しかし、神界では単純な時間は度外視される。

 ―――つまり







「ッ、ザフィーラ!!」

「承知!!」

 神界の奥から、極光が迸る。
 遠距離からの理力の攻撃だ。
 それを防ぎに出たのは、盾の守護獣たるザフィーラだ。
 
「ぉおおおおおっ!!」

 障壁を展開しつつ、全力の身体強化と共に極光を殴りつける。
 
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