第二章
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「宜しくお願いします」
「こちらこそ」
こうしてだった。
友希はハンスと婚約し彼女が二十五歳になった時に彼と結婚することになった。だがこの日からだった。
友希は変わった、すぐにハンスの今の部屋を聞いてだった。
彼の家であるマンションに足しげく通う様になり料理まで作って持って行く様になった。その他にも。
彼の服のほつれを縫ったり美味しい店を紹介したりだった。
その他にもだ、何かとハンスの傍にいる様になった。兄はそんな妹に言った。
「近頃どうした」
「といいますと」
「といいますもない、ハンス君とだが」
「はい、今日もお邪魔しました」
友希は兄に率直に答えた。
「お部屋に」
「料理を以て言ったな」
「今日はお野菜の佃煮に天麩羅にお握りを」
こうしたものをというのだ。
「持って行かせて頂いて」
「食べてもらったか」
「喜んで下さいました」
友希は兄ににこりとして答えた。
「今日も」
「それは何よりだ。だが」
「だがといいますと」
「過ぎていないか」
兄は着物の袖の中で腕を組んで言った。
「どうも」
「過ぎるといいますと」
「確かにお前はハンス君の許嫁だ」
「左様ですね」
「やがて入籍する、しかしだ」
「しかし、ですか」
「あまるにも彼と共にい過ぎる」
言うのはこのことだった。
「どうもな、まさかと思うが好き」
「はい」
友希は兄に顔を真っ赤にして答えた。
「あの方の全てが」
「まさかと思うが」
「最初はお姿が全てです」
「お前の好みだったか」
「これ以上はないまでに、そしてお声も」
これもというのだ。
「まさに私の」
「好みだったか」
「知的で穏やかで真面目で紳士であられて」
「そうしたこともか」
「まさにです」
「お前の好みだったか」
「何もかもが。ですから」
彼の全てが自分の好みであったからだというのだ。
「私はもういてもたってもいられなくて」
「彼の部屋にか」
「いつも通っています。なりませんか」
「お前は彼と結婚する」
このことは決まっているとだ、兄は妹に答えた。
「やがてな。だからだ」
「それで、ですか」
「ある程度は構わない」
「では」
「ある程度だ。父上と母上も心配しておられる」
兄はここで妹を咎める顔で見て告げた。
「そして私も妻もだ」
「お義姉様もですか」
「そうだ、今の私は過ぎる」
「そうなのですか」
「お前は今まで我が家の厳しい教育を受けてだ」
その教育のことも話した。
「文句一つ言わず立派に育った、学業もスポーツも芸術も家事も備わった」
「それでもですか」
「彼のことは別か」
「あの、ハンス様のことは」
芋王都の方も述べた。
「どうしても」
「我慢出来ないか」
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