第一章
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英才教育をしても
立花友希は代々それこそ古くから伝わる名門の令嬢だ、その為学問もスポーツも芸術も礼儀作法も文字通り叩き込まれていた。
背は一五四程で黒髪を腰まで奇麗に伸ばしている、凛とした感じの大きな目でピンクの唇は引き締まっている。やや細面で顔は白い。胸はそこそこある。
その彼女が高校を卒業した時に父から家長を受け継いだ兄の高太郎に告げられた。
「お前も高校を卒業して大学に入学するが」
「はい」
「もういい頃だ」
「いい頃といいますと」
「婚約をしてもな、私も十八の時に婚約をしてだ」
兄は自分のことを話した、一八〇近い長身で毅然とした顔立ちで黒縁眼鏡がよく似合っている。黒髪は適度に伸ばしていて清潔な和室の中で袴姿でいる。友希は桃色に赤い花々がある振袖姿だ。二人は向かい合って話をしている。
「妻を得た、ならだ」
「私もですか」
「婚約の話はもう進めてある」
こう妹に告げた。
「父上と母上がな」
「それでは」
「相手はよい人だ」
兄はこのことは保証した。
「だからお前も安心して婚約を受け入れてだ」
「そうしてですね」
「四年後大学を卒業してだ」
「それからは、ですね」
「家の仕事を手伝ってもらうが」
地元で幅広く事業を展開している、実は世界的な企業グループ八条家の傘下にありこの家とはかつては主従関係にあった。立花家が八条家に仕えていたのだ。
「お前が二十五になった時に結婚してもらう」
「ではそれまでに」
「妻そして母となる修行を積むのだ、いいな」
「わかりました」
友希は兄のその言葉に頷いた、ここまで彼女は来るべきものが来た、立花家の娘としてそれは当然のことと受け入れていたが。
次の日家に呼ばれた婚約者を兄に直接紹介されて驚いた。
「!?」
「どうした」
「いえ、あの」
友希は顔を真っ赤にさせて兄に応えたが隣にいる青い目で見事な金髪をオールバックにしていて背は一八五程あるすらりとした白い肌の青年を見て彼に問うた。
「そちらの方がですか」
「そうだ、お前の婚約者となるハンス=フォン=クルントシュテット君だ」
「そうですか」
「ドイツでは代々軍人の家でだ」
兄は妹にさらに話した。
「お父上はドイツ陸軍の中将閣下だ」
「そうですか」
「彼自身は日本の大学で日本文学を学んでいる」
「はじめまして」
その青年、ハンスは友希に上品で礼儀正しい微笑みで応えた。
「フランクフルトから来ました」
「バイエルンの」
「かつてはヴィッテルスバッハ家に仕えていました」
「確かバイエルン王家でしたね」
「そうです、そして高太郎様がお話された通りにです」
「代々軍人ですか」
「曾祖父も祖父も父も兄もそうでして」
それでとい
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