第三章
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「そうもなりますよ」
「そうよね」
「ええ、今はどうなっているか」
「わからないわね」
「二人共禁治産者ですからまともな職業に就けなくなりましたし」
後で聞いた話だが弁護士である父の兄、洋介の叔父が二人の親戚を集めて縁切りさせる時に禁治産者認定も認めさせたのだ。叔父も二人の行いにかなり怒ってそうしたのだ。
「何でも生活保護で」
「今は生きているのね」
「みたいですね」
「そうなのね」
「まああんな連中はどうでもいいとして」
洋介は叔母にあらためて言った。
「今の俺達は」
「ええ、祈里ちゃんに里菜ちゃんに」
「ふわりと一緒にいましょう」
「姉妹だしね」
「はい、ですから」
それでと話してだ、それでだった。
洋介は叔母と共に自分の妹達になる二人の女の子達と遊び世話をしているふわりを見守った。その姿はまさに生物の種類は違うが姉のものだった。
そのふわりを見た数日後父の洋介が文太にこんなことを言ってきた。
「今度お前が休みの時俺も有給取るからな」
「それでか」
「ああ、いい場所に連れて行ってやる」
「何処だよ」
「行けばわかるさ」
その時にというのだ。
「だからな」
「それでか」
「ああ、それでいいな」
「いい場所にか」
「行くぞ、ふわりも連れてな」
こう言ってだ、父は洋介が休みの日にだった。
彼をふわりを連れさせてある場所に連れて行った、それは何処かというと。
あの百田家だった、洋介はふわりと女の子達がかつていて自分も行ったことのある家を見て父に言った。
「おい、ここかよ」
「ああ、いい場所ってのはな」
「何処がいい場所なんだよ」
洋介はその家を見つつ父に問うた。
「あんな糞みたいな連中がいた家だぞ」
「そうだな、その連中ってのはな」
ここでだ、文太は。
家の庭の方を指差した、すると。
家の縁側に出て真っ赤な顔と濁り切った目で何かを飲み続けている二人が知っている彼等を見た。見れば。
二人共身体も髪の毛も肌もボロボロで身なりも酷いものだ、まるで生きる屍になって飲み続けている。
洋介はその二人を見て父に言った。
「あの人達今は」
「重度のアル中になったんだよ」
「飲んでるのは酒か」
「そうだよ、禁治産者になってな」
「親戚中から縁切られてか」
「仕事もなくなって親戚付き合いもなくなって」
そしてというのだ。
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