第7話『鉄脈術』
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」
盾と刀と、立石先輩は次から次へと本から武器を取り出し、飛鳥さんや柳葉先生に手渡していく。
これが立石先輩と飛鳥さんの《鉄脈術》。 柳葉先生のとは全く違う能力を持つようだ。
「とはいえ、芳しくないですね」
「あぁ。 どうやら二匹だけではなかったらしい」
立石先輩が加わり、武器も手にしたというのに柳葉先生たちは防戦一方といった戦いを繰り広げる。 その理由は単純で、手数が足りなすぎるのだ。
屍の怪物はいつの間にか数を増やし、最初の倍以上になっている。
流石にもう腰を抜かしたりはしないが、あまりにも絶望的な状況に一度は忘れていた恐怖がぶり返してきた。
「あ、飛鳥さん……」
「た、多分大丈夫。 さっきのは流石にあいつらにも聞こえてるはずだし……」
さっきの? あいつら? 頭が混乱して飛鳥さんの言っていることがわからない。
柳葉先生や立石先輩も積極的に撃破して状況を打破するのではなく、時間を稼いで何かを待っているようだ。
では何を待っているのか。 少し考えればわかることだろう。
今ここにおらず、菜穂ちゃんの悲鳴を聞けば駆けつける、もう一組の製鉄師。
「焼き尽くせえええええええぇぇぇぇ!!!」
突如、天から怒号と共に光が降り注ぐ。 突然のことに反応できなかった怪物たちは次々と光に焼かれて消えていく。
「ヒーロー登場。 お待たせしちゃった?」
光に遅れて降り立ったのは、ヘラヘラと笑う輝橋先輩。 ただ、その背中には見慣れない一対の翼が生えていた。
「いや、いいタイミングだ。 玲人はどうしてる?」
「遅れてくると思いますよ。 上からチラッと見たんですけど道の方にはこいつらいなかったんで危険はないかなと」
柳葉先生と話している間にも輝橋先輩の翼からは光の本流が溢れ、次々と現れる怪物を消し去っていく。
相性がいい、とでもいうのか。 数秒前までの苦戦していた様子はすっかり消えている。 柳葉先生たちはこうなることを予想して無理に突破しようとせずに待っていたみたいだ。
「よし、私と輝橋で殿を務める。 立石が中心となって道を開いて玲人と合流、いずもまで戻って待機だ」
「俺たちはいつまで足止めすれば?」
「私と立石の距離が十分離れればこの剣が消える。 そのタイミングで私たちも離脱するぞ」
「うっす、了解」
柳葉先生の指揮の下、三人の製鉄師が臨戦態勢となる。
「飛鳥、長谷川さんをお願い」
「おっけー。 唯ちゃんも大丈夫? おんぶしよっか?」
「だ、大丈夫です……」
菜穂ちゃんをお姫様抱っこした飛鳥さんが背中を向けてくるが丁重にお断りした。
全員の準備が完了したのを確認した柳葉先生は一つ頷き、宣言する。
「さて、作戦開始!」
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