暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第60話:愛する者の為に
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タンの鎧と違ってイチイバルには飛翔能力はない。結果、手を伸ばしつつもクリスの体は透から離れて行き──────

「透ぅぅぅぅぅぅッ!?!?」

 クリスの叫びと同時に、障壁が割れ透の体はその笑顔と共にカ・ディンギルの砲撃の光の中に消えていった。

「透君ッ!?」
「北上ッ!?」
「ちぃっ!?」

 カ・ディンギルの光の中に消えていった透の姿に、悲鳴を上げる響と翼。一方奏は、こちらに向けて落下してくるクリスを受け止める為駆け出した。流石にあの高さから落下しては、無傷とはいかないかもしれない。
 奏の行動に気付いた翼と響もそれに続き、3人で落下してきたクリスを何とか受け止めた。お陰で彼女は特にダメージも無く着地に成功する。

「あ、あぁ……あぁぁ、あ…………」

 だがクリスに礼を言う余裕はなかった。地面に降り立ったクリスは、震える手をカ・ディンギルに向け伸ばす。

 クリスが手を伸ばした先で、光る何かが落下していた。メイジに変身したままの透だ。辛うじて消し飛ぶことは無かったが、もう自力で動く力も無いのか重力に身を任せている。
 そのまま落下し、地面に激突したのか彼が落ちた地点で大きな落下音と共に土煙が上がった。

 そこに、クリスの手が届く事は無く──────

「あ…………あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」

 擦り切れんばかりの、クリスの悲痛な叫びが辺りに木霊した。
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