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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第60話:愛する者の為に
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様なエネルギーフィールドからの光線も加わり、キャノン砲の砲撃と合わせてピンクのビームがカ・ディンギルの砲撃と正面からぶつかり合う。

 (せめ)ぎ合う緑の光とピンクの光。
 そのある種幻想的とも言える光景に、奏達や地下から見ている二課の面々だけでなく、動けるジェネシスの魔法使い達も目を奪われていた。

 その中でもフィーネは驚愕の表情でその光景を見つめていた。

「一点集中!? 押し留めているだとッ!?」

 完全聖遺物・デュランダルをエネルギー源とし、シンフォギアとは比べ物にならない程精巧かつ頑丈に造られた砲台からの一撃を、たった1人の少女が押し留めている。それはシンフォギアとカ・ディンギル、両方の開発に携わっていたフィーネからすれば信じられない光景であった。

 だが、クリスの奮闘も長くは続かない。次第にバレルに罅が入り、ギアも罅割れ、口の端からは血が流れ落ちる。土台無理があったのだ。負担の大きい絶唱は長時間効果を持続させる事が出来ない。無限とも言えるエネルギー源による砲撃と一時のブーストによる砲撃、どちらに軍配が上がるか等火を見るよりも明らかだった。

 だが、クリスの顔は何処か穏やかだった。

──そうだよ、透。あたしはパパとママの事が大好きだった! だから、あたしがパパとママの夢を継ぐんだ。歌で世界を平和にする! あたしの歌は、その為に……──

 その間にもクリスの砲撃は弱くなり、カ・ディンギルの砲撃に呑まれていく。このままではクリス自身も砲撃に呑み込まれるだろう。だがそれでも、展開したエネルギーリフレクターでカ・ディンギルの砲撃の威力を弱らせることは出来る。
 そうすれば月の破壊は阻止できるだろう。

 尤も、その場合クリス自身はきっと助からない。カ・ディンギルの砲撃に焼き尽くされるだろう。

 自分の行動が間違っているとは思っていなかったが、それでも悔いが無いとは言わなかった。一番の心残りは、やはり透との約束だ。

──ゴメン、透。やっぱり、透の夢にはついていけそうもないや。でも透ならきっと大丈夫。だから……──

 目前まで迫った緑の巨光。自身を焼き尽くすだろうその光に全てを委ねようと、クリスが目を閉じた。

 その瞬間、クリスの体を誰かが押した。カ・ディンギルの砲撃の射線から押し出したのだ。

「えっ!?」

 一体何が? そう思ってクリスが目を開けると、そこには先程までクリスが居た場所でカ・ディンギルの砲撃に向けて障壁を張っている白い仮面のメイジの姿があった。

 それが誰か? など考えるまでも無い。障壁を張りながらもクリスの事を見る、メイジの仮面越しに自分に向けて微笑む最愛の少年の顔が見えた。

「あ────」

 咄嗟に手を伸ばすクリスだったが、ネフシュ
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