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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第60話:愛する者の為に
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ィーネに飛び掛かる。幅の違う二つの刃がフィーネに振り下ろされた。それをフィーネは両の鎖鞭で防ぐ。
 それこそが2人の目的だった。フィーネの武器は2本の鎖鞭のみ、それは颯人も気付いた戦闘におけるフィーネの弱点だ。それを塞がれてしまえば、フィーネには打つ手がない。

 そこを響が突く。

「だりゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

 透が作った隙に、響がフィーネに近付きジャッキを引いたガントレットを叩き付けようとする。

「甘いわッ!!」

 しかしフィーネも一筋縄ではいかなかった。透の攻撃を防ぐ為に使った2本の鎖鞭が、そのまま透の体に巻き付き簀巻きにする。それをフィーネはハンマーの様に振り回し響に叩き付けた。

「ッ!?」
「うわっ!?」
「透ッ!? 2人とも、大丈夫か!?」

 透を叩き付けられ、諸共にクリスの近くまで飛ばされる響。自分の近くまで飛ばされてきた2人をクリスは気遣いながら、メイジが近付いてこないように銃撃して牽制する。

 その光景を遠目に見て、奏はメデューサの攻撃を防ぎ距離を取った。一度状況を冷静に分析したい。

「くそぉ、時間が無いってのに────!?」

 もうカ・ディンギルの発射は目前まで迫っている。と言うのに、未だカ・ディンギルに近付く事すらできていない。
 その奏に背中合わせになるように、ヒュドラから距離を取った翼がやってきた。

「翼、そっちは?」
「こちらは大丈夫。立花達も、大事は無いみたい」
「あぁ。だが…………」

 奏は砲口から紫電を放つカ・ディンギルを見上げる。先端を怪しく光らせる塔も確かに気になるが、それとは別に奏には気になっていることがあった。

 ワイズマンだ。

──あいつ……メデューサが大人しくなる位に強いんだろうに、手下にばかり戦わせて自分は何してるんだ?──

 ワイズマンは最初に姿を現した瓦礫の上から一歩も動いていない。立ち去る事は無かったが、奏達の邪魔をする事もしなかった。まるでこの状況を観戦しているかのように瓦礫に腰掛けているのが逆に不気味だ。

 そうこうしている内に、メイジが再び包囲を完成させてしまった。あと一歩で決め手に欠けているからか、倒したメイジが再び戦線復帰してきたのだ。

「どうしたら……」
「おい! 人気者共!!」

 どのようにしてこの状況を打開すべきかと奏が思案していると、クリスが遠くから声を張り上げてきた。

「何だ!? 今どうするか考えてんだ!?」
「少しの間で良い! 周りの魔法使い共を黙らせろ! そうすればあたしが何とかする!!」
「何とかって、何だ!?」
「奏! 今は時間が無い。この場で一番適任なのは雪音しかいない!」

 翼の言う通り、今この状況でカ・ディンギルに最も有効な攻撃が出来る
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