四十二 火影の子
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
カコーン…と鹿おどしが鳴る。
麗らかな陽射しの下で、鳥の囀りが聞こえる中、パチパチ、と定期的な音が幾度か続いていた。
「王手」
長閑な空気が流れる縁側で、パチン、という音が高らかに鳴った。
将棋盤をじっと睨んでいた猿飛アスマはすぐに顔を手で覆うと、長い溜息をつく。
「次の仕事の打ち上げ代は先生持ちってことでヨロシク」
また負けた、と項垂れるアスマに、シカマルは聊か得意げに笑う。咥え煙草から煙を棚引かせながら、アスマは「はいよ」と肩を竦めた。
「お────い!!ってばよ〜!!」
了承するや否や、明るく元気な呼び声が師弟の間に割り込む。
金色の髪を靡かせて、駆け寄ってきた人物に、シカマルの顔が明るくなった。
「なんだ。ナルじゃねぇか」
目に見えて嬉しそうなシカマルの様子を横目で眺め、アスマはにやにやと顎を撫で擦る。
ところが、ナルはシカマルではなく自分のほうへ向かってきた。
若干、シカマルから不機嫌そうな視線を受けつつも、アスマは「なんだ?」と駆け寄ってきたナルに訊ねる。
「実はちょっと聞きたいことがあるんだってばよ、アスマ先生っ」
怪訝な顔をするアスマに、ナルは今始めている修行について語る。
サスケとの邂逅を経て、大蛇丸のアジトから木ノ葉の里へ戻るや否や、ナルはカカシにねだって修行をつけてもらうことにした。そこで現在、チャクラの性質変化の修行をしているらしい。
螺旋丸を超える術を編み出すんだってばよ、とふんすっと意気込む彼女を見て、シカマルは感心する。
サスケを奪還できずに終わった任務だった故、落ち込んでいるかと思いきや、こうやってすぐ修行に打ち込むナルの切り替えの早さは美点だ。
サスケが実は木ノ葉のスパイで、今度は暁へ潜入しているという事実を知っているが故に、真実を知らないナルへの罪悪感があったシカマルは、熱心に修行に打ち込む彼女を見て(心配いらねぇみたいだな)とホッと息をつく。
「なぁ、アスマ先生、“風”のチャクラ性質なんだろ!?なにかコツとか教えてほしいってばよ!!」
勢いよく頼み込むナルを見て、アスマは愉快げに眼を細めた。
「ナルが“風”の性質とはなぁ〜…こりゃ驚いた」
「アスマ、もったいぶらずに教えてやれよ」
面白がる師に、シカマルが口を挟む。
ナルの真剣な眼差しを受けたアスマは、シカマルに意味深な視線を投げると、煙草を口から外して指に挟んだ。
「そうだなぁ〜…」
なにか嫌な予感がして、シカマルは顔を険しくさせる。煙草を軽く揺らしながら、アスマはにやっと口角を吊り上げた。
「今度のアスマ班の任務打ち上げの焼肉代金を立て替えてくれるなら…」
「アスマ」
先ほどの将棋の勝負で賭
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ