お爺ちゃん想いの青年
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失った。ほんの数瞬で記者を助けたが、その記者は。
左足がなくなっていた。
「?っ…」
喉奥より吐き気が襲う。腹を抑えながら、友奈は青年だった怪物へ向き直る。
「友奈ちゃん!」
ほかの記者に引きずられていく隻足の記者とは入れ違いに、真司が駆けつけた。すでにメモやペンといった取材道具は手にしておらず、腰にVバックルを装着している。
「なんなんだこれ? 一体どうなって……」
「分からない……人が……人が……」
震える手で狒々を指さす。すでに記者も院長も患者もスタッフも、病院の外へ向かって逃げ出している。今病院内にいるのは、動けない患者と騒ぎに気付いていないものだけだろう。
その時。
バリン、と再びガラスが割れる音が上の階より聞こえてきた。
ガラスのなくなった窓より飛び出してきたのは、緑の風。
『フー フー フーフー フーフー』
緑の魔法陣を潜った風のウィザード。彼に吹き飛ばされた、象とゾウムシの顔を持つ怪物。
ズドンと重量感のある音を立てて、二体の怪物は地面に落下。風のウィザードは、音もなく着地した。
「……真司さん? それに友奈ちゃんも」
ウィザードがこちらを向いている。彼は再び怪物に目を向ける。
友奈が戦っていた狒々の怪物に加え、象とゾウムシの怪物がむっくりと起き上がった。
「あれ? 一体増えてる!」
「ハルトさん!」
ソードガンを構えようとするウィザードを、友奈が止めた。
「あのヒヒみたいなのは、その……」
「何?」
「人が……人が変わったんです!」
その時。ロビー入口にどよめきが走る。
離れていない記者たちが騒ぎ立てており。どうやら友奈の言葉が届いたようだった。
三体の人喰いの怪物が雄たけびを上げる。記者たちが、この情報を外部へ流してく。
そして。
「あああああああああああああああああああ!」
フェニックスの時に現れた青いサーヴァントが、友奈たちと怪物たちの間に降り立った。
「……」
青いサーヴァントは、友奈たちと怪物たちを見比べた後、
怪物たちへ、襲い掛かる構えを取った。
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