第百十四話 人取橋の戦いその十一
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「まだまだ戦うぞ、よいな」
「はい、それでは」
「今は勝ちを祝いますが」
「それが終わればですな」
「また動くのですな」
「そういうことじゃ、これで終わりではないことはな」
最初の一歩に過ぎないことはというのだ。
「覚えておく様にな」
「わかり申した」
「このこと肝に銘じておきます」
「そのうえで、です」
「今は、ですな」
「しこたま飲むのじゃ、飲むべき時は潰れるまで飲んでじゃ」
そうしてというのだ。
「翌朝頭が痛いと苦しむことじゃ」
「殿、深酒はよくありませぬ」
片倉はこのことは咎めた。
「殿は時折その様に飲まれますが」
「それはか」
「はい、慎まれるべきです」
「だから時折じゃ」
「それ故にですか」
「よかろう、時々深酒をする位ならな」
それならというのだ。
「別にな」
「まあいつもよりは遥かにましですが」
「そして朝二日酔いだとな」
その時はというのだ。
「すぐにじゃ」
「水浴びなり湯浴び等をしてですな」
「風呂がなければ川に入って身体を清めつつな」
「酒も抜きますか」
「そうする、それでじゃ」
「二日酔いは終わらせますか」
「そうする、そこまで考えて飲んでおるのじゃ」
こう言いつつまた飲んだ。
「その様にな」
「では今も」
「そうして飲んでおる」
「覚悟のうえですな」
「そうじゃ、では飲むぞ」
「まあ今はよいかと」
片倉は主の言葉に折れる様にして述べた。
「そこまでお考えなら」
「ではな」
「して殿、肴の魚の干物ですが」
今度は成実が言ってきた、勿論飲んでいる。
「実に酒に合いますな」
「塩気が利いておってのう」
「左様ですな」
「これはよい、しかしな」
「しかしといいますと」
「別に魚の干物がなくともじゃ」
それでもというのだ。
「塩なり梅なり味噌なりがあればな」
「それで、ですか」
「よい」
「そういったものを肴にするので」
「そうじゃ」
こう成実に話した。
「あるものでよい」
「肴については」
「それでな、上杉殿もな」
謙信の話もした。
「毎晩多くの酒を飲まれるというが」
「その肴は、ですか」
「塩とか梅でな」
そういったものでというのだ。
「質素らしい」
「酒を飲まれていても」
「そうじゃ」
それはというのだ。
「質素だという」
「そうなのですか」
「わしはやがて上杉殿も家臣にする」
天下を手に入れる、それならば彼も家臣になるということだ。政宗は既にそうしたことも念頭に置いているのだ。
「その上杉殿を知ってな」
「そうしてですか」
「やがて用いる」
家臣としてというのだ。
「そうする」
「そうですか」
「だから知っておる、あと織田殿はな」
信長
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ