第百十四話 人取橋の戦いその十一
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はというと。
「これが酒はまるで飲まれぬそうじゃ」
「そうなのですか」
「どうもな」
これがというのだ。
「あの御仁はな」
「酒は、ですか」
「それで茶や甘いものが好きという」
「意外ですな」
「しかしな、そのことも覚えておいてじゃ」
「織田殿を降したならですか」
「その時は菓子を振舞ったりしてな」
その様にしてというのだ。
「対する、その者それぞれを知り」
「そうしてですな」
「接するのが主ですな」
「そうじゃ、では今は祝おう」
こう言って政宗はまた飲んだ、そうしてだった。
政宗は宴が終わると次の日朝早くに風呂に入った、そのうえで酒を抜いてから軍勢を率いて意気揚々と米沢に帰った。すると万雷の歓声を浴びた。それが何よりの勝ちの証だった。
第百十四話 完
2020・9・15
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