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レーヴァティン
第百八十一話 東から西へその七

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「俺だってわかるさ」
「そうだな、しかしだ」
「それでもだよ」
「人を殺してその血に浸る」
「何か返り血をぬぐってぬぐった後が奇麗に見えてそうしたんだよな」
「そう言われている」
 正は久志に答えた。
「何でもな」
「それでもだよ」
「人を次々と殺してな」
 そしてというのだ。
「その血の風呂に浸るなぞだ」
「狂ってるよな」
「そんな奴を理解出来るなぞだ」
 正はいつも通り淡々として語る、だがその目には強い嫌悪があった。彼にしても理解出来ないということだ。
「普通の奴じゃない」
「そういうことか」
「世の中誰でも理解出来るか」
「そうじゃないんだな」
「むしろ誰でも理解しようなぞとはだ」
 その様に思い動くことはというのだ。
「無理なことだ」
「誰でも話し合えばわかるってな」
「話し合いは大事だが」
 しかしというのだ。
「だが常人は理解出来てもな」
「キチガイは無理だっていうんだな」
「そういうことだ」
「その慰安婦の奴もな」
「変態と言うべきだな」
「何でそんなことしたのかってな」
 久志は眉を顰めさせて首も捻った。
「ちょっとな」
「俺も理解出来ないしな」
「俺もだよ」
「そういうことだ、化けものはな」
「理解出来ないな」
「そうだ、お前の言う通りだ」
「心で人になってな」
 久志はまた言った。
「化けものはか」
「やはり心でなってだ」
「理解しようとはか」
「思わないことだ」
 全く、というのだ。
「出来るものではないからな」
「そういうことだな」
「そうだ、それでその領主だが」
「正直降してもな」
 それでもとだ、久志は難しい顔で言った。
「俺達には従ってもな」
「どういった政を行うか」
「目に見えているしな」
「用いることが出来ない」
「ああ、これまでの罪もあるしな」 
 その残虐行為がそれだというのだ。
「だからな」
「処刑するな」
「そうするか」
「そうするしかないな」
「そいつはな、しかしな」
 久志はこうも言った。
「他の領主でまともな奴はな」
「用いるな」
「これまでの領地でな」
 そこでというのだ。
「そうしてもらう」
「そういうことだな」
「そうするさ、しかしまた滅茶苦茶な奴がいるな」
 久志はまたその領主の話をした。
「本当に」
「そうだな、この世界でもな」
「おかしな奴は何時でも何処でもいるんだな」
「人の世界はな」
「善人も悪人もいてな」
「正常な奴がいてな」
「狂人もいる」 
 そう呼ぶしかない輩もというのだ。
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