第三章
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「今からね」
「勉強すればいいか」
「そうしなさい、いいわね」
「ああ、そうするな」
「まだ勉強するにしても」
それでもというのだ。
「イライラしたり落ち込んだらね」
「コタロウを散歩に連れて行けばいいか」
「そうよ、いいわね」
「これからはそうするな」
拓海は母の言葉に頷いた、そしてだった。
コタロウ彼と家に帰って来ていた愛犬にも声をかけた。
「宜しくな」
「ワンッ」
コタロウは今も明るい声で応えた、そうしてだった。
拓海は推薦に落ちたがそれ以降も受験勉強に励んだ、イライラしたり落ち込むとコタロウとの散歩に出た、コタロウもいつも笑顔で一緒に行ってくれた。
そして普通入試に挑んだが今回はだった。
「合格したよ」
「よかったわね」
「ああ、今度はな」
合格発表に自分の番号があることを確認してから母に話した。
「番号あったよ」
「そう、それもね」
「コタロウがいたからだよ」
笑顔でこう言った。
「それでだよ」
「そうでしょ、コタロウとお散歩してね」
「イライラしたり落ち込んでもそれで癒されたからか」
「それでなのよ」
まさにそのお陰でというのだ。
「お勉強もはかどってね」
「合格出来たんだな」
「そうよ、じゃあこれからもね」
「イライラしたりしたらか」
「コタロウと一緒にいなさい、コタロウもね」
彼もというのだ。
「あんたと。家族といつも一緒にいたいから」
「コタロウにもいいことか」
「そう、だからね」
「これからもコタロウと一緒にいればいいか」
「それでいいわね」
「わかったよ」
拓海は母の言葉に頷いた、そしてだった。
この日は笑顔でコタロウと散歩に出た、コタロウはこの時もとても嬉しそうだった、拓海はその彼と一緒にいて合格した喜びを話した、するとコタロウは彼の方を見てとても明るい顔と声で一声鳴いた。おめでとうと言っているのがわかった。
ヒーリングドッグ 完
2020・11・25
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