第98話『予選C』
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うのも、この"迷宮"は普通に突破するのも良いが、近道が用意されているらしい。ただし、それには知力が必要とされる試練が伴うのだと。
しかし、それは伸太郎にとって好都合でしかない。頭を使うことに関しては、非凡な才能を持っていると自負できるほどに自信があるからだ。
「げ、分かれ道か……」
しかし、ここで迷路ゆえの障害に当たってしまう。もっとも、この展開は誰だって予想できる。問題は──
「どの道を選ぶか……てか、分かれ道多くね?」
今この通路は道路の幅くらいに広がっているのだが、何ということだろう。前、右、左と3つの分かれ道があるのは良いとして、そのどの道にも上と下に向かう階段が伴っているのは如何なものなのか。
つまるところ、分かれ道が計9本あるのである。
「まぁ100人以上がこの山の中にいるんだもんな……」
ただいま、この迷宮には100人以上の選手がいる。それだけいるのだから、道が多いのも道理と言えよう。未だに誰とも会わないのもそのせいだ。まるでアリの巣に迷い込んだ気分である。
「俺、外に出れんのかな……」
近道を見つけて即脱出するという野心を抱く一方で、このまま近道が見つからずに遭難してしまう未来を想起した伸太郎であった。
*
「あれがモンスター……」
茂みに隠れながら、目の前で蠢く生物を監視しながら緋翼は呟く。
その生物は地面を這いずり回り、地面に落ちた葉を見つけると、吸収するように食べていた。そんな粘液状で丸い生物の正体は──そう、それはスライムである。
「実際に見てみると、あんまり可愛くないわね。スライムって」
まるでマスコットかのような扱いを受けることが多いスライムだが、実際はピチャピチャと音を立てながら這うその姿に、愛らしさよりも気味悪さが勝ってしまう。何だか背筋がゾクゾクしてきた。
「さて、観察はここまでにして、そろそろ狩りましょうか」
今、緋翼は"組み手"の真っ最中。モンスターを倒すことが目的なのだ。
念のためにと観察をしていたが、モンスターとはいえ動物と同じように考えていいだろう。それに、モンスターと名が付く分、倒すことをあまり躊躇わないで済みそうだ。
「あんたは一体何点かしら、ね!」
『!?』
茂みからの不意打ちの焔。スライムはそれに驚いて逃げようとするも、時すでに遅し。緋翼の焔はスライムを包み、そして瞬く間に溶かしていった。
「スライムに物理攻撃は効かなそうだから魔術で攻撃してみたけど、成功したみたいね」
腕輪を見ると、『+1pt』と表示された。スライムは最弱キャラとはよく聞くが、やはり最低点だったようだ。
まだ周り
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