第98話『予選C』
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「一気に、解き放つ!!」
その瞬間、地面を抉るほどの力で地面を蹴ったかと思うと、晴登の身体はロケットの如く宙へと打ち上がっていった。
*
舞台は変わって、広大な正方形の広場。ここではそこら中に不思議な水晶が浮かび、奇妙な景色を呈している。
そう、今からここで始まる競技は──
「準備はよろしいですか? それではいきましょう。制限時間は15分! "射的"スタートです!」
ジョーカーの高らかな宣言と共に、魔導師たちは一斉に魔術を放ち始める。この魔術を的という名の水晶に命中させることで、得点が貰えるからだ。
「はぁっ!」
当然、【日城中魔術部】代表の結月も氷片を水晶に向けて放っていた。
本来なら辺り一帯に放ちたいところだが、他の選手への攻撃は減点扱いされるようなので、大人しく水晶を狙っている次第だ。
「でもこれじゃ差が出ない……!」
いくらレベル5の魔術師とはいえ、結月はまだまだ未熟者。的を一つ一つ射抜くスピードは、他の魔術師とそう大差はない。
……やはり、ここは大技でまとめて狙うしかないのだろうか。しかし、それではどうしても他の人を巻き込んでしまう。何か良い案は──
「はっ……!」
その時、結月は上空を見上げた。そこには地上と同じくらい、多くの水晶が浮かんでいる。
「ここなら人がいない!」
結月は上に掌を向ける。
今まで目の前に意識をとられていたが、この競技は2次元ではなく3次元的な仕様だ。当然上方向を狙ってもよい。
空を飛べる人がいない訳ではないようだが、今結月の真上には誰もいない。
「今のうちに……!」
結月は掌に魔力を込めた。ひとまず、真上に位置する水晶を根こそぎ戴くことにする。
「吹き荒れろっ!」
そう叫び、結月は上空へ吹雪を放つのだった。
*
「思ったより暗いな」
魔導祭予選"迷宮にて、開幕早々伸太郎はそう呟いた。
というのも、舞台は洞窟の中なのだが、その暗闇を照らすのは己の持つ松明の微かな光のみ。おかげで3歩先はもう真っ暗だ。
ちなみにこの松明は洞窟の入口付近に設置してあった物で、恐らく参加者に支給されていると思われる。
「ま、俺には必要ないか」
しかし、伸太郎は光と炎を操る魔術師。松明の明かりを強くすることなど造作もない。
本当はいつもの目くらましの時みたいに、懐中電灯の様な使い方をしてもいいのだが、あれは意外と魔力を使うので、一瞬ならまだしも継続して使うのは避けたいところ。
「さて、近道は……」
松明の明かりを若干強めると、伸太郎は近道を探し求める。
とい
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