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戦国異伝供書
第百十四話 人取橋の戦いその五

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「よいな」
「はい、それでは」
「その時が来ればですな」
「一気に攻めますな」
「逆に我等が
「そうしますな」
「うむ、その時は間もなくじゃ」
 そうするというのだ。
「来るぞ」
「はい、それでは」
「ここはですな」
「敵が来るのを待つ」
「そうしますな」
「そうじゃ、その時を待つのじゃ」
 こう言ってだった、政宗は自身の軍勢を攻めて来る五家の軍勢が攻めて来るのを待っていた。そしてだった。
 政宗の読み通りに敵が来た、それでだった。
 数を頼みに茂庭が率いる先陣を囲みその数で倒そうとする敵軍の動きを見つつも庭が率いる先陣以外の戦の場にいる全軍に告げた。
「よいか、爺の軍勢を敵が囲んだ時にじゃ」
「その時にですな」
「我等は動きな」
 片倉に対して答えた。
「そしてその敵の横や後ろを一気にじゃ」
「攻めますか」
「うむ」
 まさにというのだ。
「鉄砲騎馬隊も使う、そして鉄砲を撃っていきな」
「長槍もですな」
「叩くのではなくな」
 戦の場で槍の本来の使い方である上から叩くのではなく、というのだ。
「突くのじゃ」
「槍術の様に」
「そうしてじゃ」
「敵を攻めますな」
「うむ、そして槍の後はな」
 政宗はさらに話した。
「刀を使ってじゃ」
「切り込みますか」
「そうする、一気に攻めてな」 
 そうしてというのだ。
「ここで戦の流れを決めんとする」
「そうしますか」
「だがな、やはり敵の数は多くな」
 それでというのだ。
「それでもな」
「戦の流れはですか」
「決まらぬ、だからな」
「それで決まらずですか」
「戦はさらに続く」
 そうなるというのだ。
「夜になるまでな」
「そうなりますか」
「しかし爺は助かり」
「我等は夜まで凌げる」
「そうなる、逆に爺が討ち取られてじゃ」
 今最も見事な働きをしている彼がというのだ。
「そして敵を攻め切れぬとな」
「我等の負けは、ですな」
「それでかなり決まる」
 そうなってしまうというのだ。
「まさにな」
「だからですな」
「ここはな」
「何としても茂庭殿を死なせず」
「敵を攻め抜く」
「そうしますか」
「敵が退くまでな」
 圧倒的な数の彼等がというのだ。
「そうするぞ」
「それでは」
「わしも行く」
 政宗自身もというのだ。
「この度もな」
「それがしも」
 片倉も言ってきた。
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