第一章
[2]次話
ハッピードッグハッピーライフ
ジョッシュ=オーセンは取材に来た記者にこう話した。
「いや、こうなるなんてな」
「思いもしませんでしたか」
「ああ、俺みたいな奴はな」
ジョッシュは記者に少し自嘲めかして言った、痩せた顔で茶色の髪の毛は少し伸ばしていて顎髭も同じ色だ。顎は先が尖っている。目は灰色で小さく背は一七六位で痩せている。
「野垂れ死にするってな」
「思われていたんですね」
「そうさ、ホームレスでな」
それでというのだ。
「その前はな」
「確か」
「ああ、俺の親父とお袋はいないんだ」
このことは寂しい顔で話した。
「実はな」
「生まれてすぐにですね」
「事故でな、それで父方の祖父さんと祖母さんに引き取られて」
そうしてというのだ。
「育ってたけれどな、馬鹿で親がいないことに引け目を感じて」
「そうしてですか」
「ぐれて喧嘩ばかり、ハイスクールも退学になって」
「後は、ですか」
「違法スレスレっていうかアウトな仕事をやってな」
「確かドラッグも」
「やったら、かっぱらいもしてな」
「そのかっぱらいで、ですね」
「ああ、捕まってな」
そうしてというのである。
「そこでドラッグもばれて」
「十二年もの間」
「刑務所にいたさ、出たら真人間になろうと思って」
「出所されて」
「けれどずっと刑務所にいたんだ」
十二年の間というのだ。
「それでハイスクール中退で悪いことばかりしていた奴なんて雇うところもな」
「なくて」
「ホームレスになってな」
それでというのだ。
「シェルターの世話になったんだよ」
「そこまでですか」
「何度もやばい仕事に戻りそうになったさ」
違法なそれにというのだ。
「本当に、けれどそんな中で」
「そこで、ですね」
「こいつに合ったんだよ」
「ワン」
ここでだ、ジョッシュは。
自分の隣に座っている茶色の毛の犬を見た、毛が長く耳は大きく大型犬と言っていい位の大きさである。
「ジョンがな」
「彼と会って」
「ああ、ちなみに雄だよ」
ジョッシュは犬の性別の話もした。
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