第三章
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「太ってきてるわね」
「痩せてるよりずっといいわね」
「そうかしら」
「ええ、いつもご飯沢山食べてミルクも飲んでるから」
咲子は梓ににこにことして話した。
「だからよ」
「いいっていうのね」
「ええ、これからもずっと元気でいて欲しいわ」
「ニャ〜〜〜」
マリは咲子の横に座って彼女に応えるかの様に鳴いた、見れば毛並みはかなりいいが。
梓がはじめて見た時よりも明らかに大きくなっていた、しかも。
太ってもきていた、それは梓が見る度にそうなっていて。
はじめて見た時から一年半程経つとだった、マリは。
巨大に見えてしかもでっぷりと太ってしまっていた、梓は咲子の部屋でマリを見て彼女にねこじゃらし型のおもちゃを出して遊びつつ咲子に尋ねた。
「今何キロなの?」
「七キロあるわ」
「七キロって猫だと」
それだけ大きいと、というのだ。
「かなりでしょ」
「成長したわね」
「でかくなったでしょ」
梓はそこは訂正した。
「その場合は」
「そうかしら」
「そうよ、けれどあんたもその娘も幸せそうね」
「マリいつも上機嫌よ」
咲子はまず猫のことから話した。
「よく寝てよく食べてね」
「それはいいことね」
「よく喉を鳴らしてね」
猫が上機嫌である証だ。
「そうしてね」
「それはいいことね」
「私もね、マリと一緒にいてね。大学もアルバイトも頑張ることが出来て」
それでというのだ。
「毎日充実してるわ」
「お互いにいいことになってるのね」
「ええ、マリが一緒だから」
それでというのだ。
「これからもね」
「一緒にいたいのね」
「そう思っているわ」
こう言ってだ、咲子はマリを撫でた。そうしてだった。
梓と二人で彼女と遊んだ、咲子は大学にいる間も就職してからも結婚してからもマリと一緒だった。梓はその彼女からマリの話を聞く度に自然と笑顔になった。
巨大化する子猫 完
2020・11・22
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