忠臣の軌跡
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に見えた。駅を降りて通りを歩く。人通りが全く無いのがまた不気味だった。
通りからそう遠くないところにはキオスク(ロシアやドイツなどにある露店式の小店)があり、たくさんの紙束が置かれていた。恐らくは今日の朝刊だろう。何気なくその中から一部手に取り、1面を見た。
!!!!!!!!!
その内容に目を剥いた。全身の毛が粟立つのを感じた。呼吸も荒くなる。
目を疑った。これは悪夢ではないかとも疑った。
『ソヴィエト社会主義共和国連邦成立!』
その文字は見つめれば見つめるほど、吾輩をあざ笑うように踊り始めた。
落ち着け、落ち着け、まずは情報収集だ。
焦る気持ちを抑えながら、新聞を食い入るように読んだ。
内容はこうだった。
ロシア臨時政府がニ月革命の結果に不満を持つ労働者に倒された。レーニン率いるポリシェビキと共に社会主義革命を起こしたらしい。
革命によって誕生した政府が革命によって倒されるという皮肉に塗れた結果だ。
未確認情報ではあるが、既に皇帝陛下も他の皇族と共に赤軍に捕らえられているという文面を見た時には手元が震え、吐き気を催しそうになった。
恐らく、間もなく陛下は殺されるのだろう。すぐにでも救助に向かいたかったが今の吾輩ではどうすることもできなかった。
「フフ……フハハ…」
自分でも信じられないことだが乾いた笑いが出た。
滑稽なわけでも、面白いわけでもないのに笑いが止まらない。
革命か……。
革命、革命、革命、革命…………。
突然、怒りが心を支配する。
笑いが雄叫びに変わる。
何が革命だ!!!
何度、革命を起こせば気が済むのだ!!何度、秩序を破壊すれば気が済むのだ!!
何がソヴィエト(評議会)だ!!
我らが皇帝陛下の権威を貶めるのが民意だというのか!?祖国を破壊するのが民意か!?吾輩は認めない!!どれもこれも!!こんな結果を認めてなるものか!!!
しかし、いくら義憤に駆られようと現状は何も変わらなかった。ただただ非常な現実のみが残されていた。
その後、ソヴィエト成立に反対する一派がロシア白軍を組織し、ソヴィエト率いる赤軍と内戦を開始した。
世に言うロシア内戦である。
しかし、この内戦に参加する気になれなかった。
赤軍の思想はもとより反対だが、白軍の方にも参加するつもりはなかった。吾輩から見て白軍は『帝政復活』ではなく『自由主義の維持』というくだらない目標の為に戦っている反逆者に過ぎなかったからだ。
ソヴィエトからは追われ、白軍にも参加しないとなれば残るは他国へ亡命するしかない。
しかしいざ亡命しようと入国先となる国々に亡命を打診してもどこもいい返事はしてくれなかった。
何故か、どこも受け入れたく
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