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SHOCKER 世界を征服したら
忠臣の軌跡
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激痛に悶ていただろう。

 
1回、2回、3回……。骨が砕ける鈍い音が響く。


 
クソッ!クソ共が!!愚か者が!!間抜けが!!ふざけるんじゃない!!
帝政の打倒だ?そんなこと……そんなこと……起こってはならないんだ!!!


しばらく蹴り続けていると砲声が鳴り響いた。その音にハッと我に返る。慌てて窓の外を見ると政治街のあちこちから黒煙が上がっている。きっと叛乱に同調した連隊の一部が近くの市庁舎に砲撃を行っているのだろう。
ここが砲撃されるのも時間の問題だ。もう間もなく、コイツらの仲間がここにやって来るかもしれない。


悔しいが今は逃げるしかない。
吾輩の決断は早かった。
非常に屈辱的な選択だがこの場に留まっても殺されるか、アカ共の一方的な裁判にかけられるだけだろう。
吾輩はすぐに司令部を抜け出し、首都を去った。

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蜂起軍の勢いに押され、皇帝ロマノフ2世は退位しました。帝政は打倒され、おバカな自由主義者達が主導する愚劣な臨時政府が誕生したのです。こうして『二月革命』と呼ばれる革命は終焉を迎えました。
勿論、平和と秩序を愛するブラック将軍は断固として反対の立場をとっていました。
しかし、おバカな連中に扇動された民衆はそれを嘲り、偽りの幸福を手にして浮かれていました。我らがブラック将軍はこれに嘆かれ、逃避行が新たに始まりました。

それからしばらくして、将軍は逃れたシベリアで新聞を読んでいた時に驚きました。
なんと彼の祖国を倒したおバカな革命家達もまた、革命を起こされたというのです。そして将軍が愛してやまなかったロシアはソヴィエトと名前を変えられて、社会主義というさらにおバカな考え方の国になってしまいました。

将軍はこの報せを知って悲しまれました。彼は祖国をとても愛していたのでおバカな別の国になってしまったと知って身を切られるような思いだったといいます。


そして誓いました。いつの日か故郷の人々を救おうと。いつの日か世界中の人々を本当の意味で幸せにしようと。

 1985年 ショッカー教育省発行『幼年生向け大幹部偉人伝』より
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首都ペトログラードを脱してからは労働者の変装をして帝国各地の都市を転々とした。辛く長い日々だった。吾輩は最終的にカザン、ソチを経由し、まだ革命の影響が少なかったシベリアに避難した。
しばらくして、シベリア鉄道の汽車を乗り継ぎ、新たな逃亡先であるシベリアに到着した。時間は深夜過ぎ、間もなく早朝になろうとしていた。辺りはまさに暗闇の銀世界。一見、美しいが吾輩にはそれが死神の髑髏の色
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