忠臣の軌跡
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る。これらの連隊はモスクワやヴォルイニの防衛が目的の連隊だからだ。中にはただ雇用を求めて軍人になったものも所属しているだろう。
だがここにきて本来、皇帝と帝国に絶対的な忠誠を誓っているはずの近衛連隊まで叛乱を起こしたのだ。
「さらにこれら叛乱蜂起軍によって橋、駅、中央郵便局が占拠されました!!ペトロパウロ要塞、兵器庫の陥落も時間の問題です!!」
ペトロパウロ要塞、そこは国家から政治犯と見做された人物を収監している政治犯収容所としての役割を兼ねている。そんな場所を陥とされたら、叛乱は激化することになる。
益々、悪化する非常事態に意識を手放さないようにするだけで必死になる。
そんな中―
ドシッ!!!
ボルトアクションライフルを構えた兵士が3名、ドアを蹴破って室内に侵入する。普段ならこんなことが起きても臨機応変に動けるのに状況が状況だったために頭の切り替えが上手くできず、身体が動かなかった。
「目的は将軍の拘束だ!部下の士官は撃てッ!」
1人がそう言うと残りの2人が報告に来た部下達を容赦なく射殺した。
「ギャッ!!」
「ウッ!!」
豪華な室内に脳髄と血飛沫が飛び散る。
おそらく襲撃者達は反乱に同調したという何れかの連隊のメンバーなのだろう。人数が少ないところを見ると吾輩を捕らえるために先にスパイとして潜り込んでいたと見るべきか…。
「貴様ら……!!陛下を裏切るのか……ッ!!」
怒りに震える。吾輩が襲撃者達を睨みつけると、彼らは口々に語り始める。
「もうたくさんなんです!!」
「国民は自由とパンを欲しております!何よりも彼らを優先すべきです!」
「こんな国、いや帝政を打倒するべきなんです!」
なんと身勝手な主張だろう。
200年近く続いている祖国より、民の生活を優先するとは愚かにも程がある。祖国が無ければ、偉大なる陛下の御慈愛が無ければ国家運営ができず、民の生活もままならないというのが分からないのか?
怒りから手がプルプルと震える。それからの行動は自分で思うよりも早かった。
「この裏切り者共がぁぁぁぁ!!!!」
吾輩はサッとホルスターからリボルバーを抜いた。てっきり、吾輩が大人しく降伏に応じると思っていたのだろう。蜂起軍の兵士達は何が起きたのか理解できないような間抜けな顔のまま射殺された。
パンッ!!パンッ!!パンッ!!
眉間に命中。兵士達は即死し、その場に膝から崩れ落ちる。
吾輩は死体と化した彼らをチラッと見た。見れば見るほど怒りが沸いてくる。我慢ができなくなり、死体の一人に強烈な蹴りを入れた。彼らが死んでいるのが幸いだった。怒りを込めて放たれるそれは意識があれば
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