忠臣の軌跡
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数十分ほど経っただろうか。
執務室の扉が乱暴に開け放たれる。
「ブラック将軍!!参謀本部より緊張連絡です!ヴォルイニ連隊が…!連隊が!」
吾輩の執務室に彼の部下の士官が血相を変えて飛び込んできた。
ヴォルイニ連隊と聞いて吾輩はホッとした。
これで勝った。これで日常に戻る。鎮圧後は治安維持が忙しくなりそうだが、とにかく一件落着だ。
「ほう、貴官のその慌てぶりと迅速な報告からするにヴォルイニ連隊は予想以上に"仕事"が早いのだな」
士官は吾輩の顔を見つめると悔しそうな顔をした。数秒間、間が空いた。何事かと身構え始めた時、士官は弱々しい声で報告を始めた。
「そうではないのです。ヴォルイニ連隊が叛乱に同調したのです」
「……な……に?」
士官からの報告、それは鎮圧部隊の叛乱同調の報せだった。余りに現実離れした報告に呆気に取られた。
心なしか目の前の光景が歪んで見えた。
目の前の士官は何と言ったんだ?叛乱鎮圧に向かったはずの部隊が叛乱に同調したと言ったのか?
そんな馬鹿なことありえるのか?あっていいのか?
「冗談だろ?私をからかっているのか?」
吾輩は士官が「冗談です。」と言うのを期待した。しかし、士官はうつむいたままで何も答えない。それは士官からの報告が事実であることを意味していた。
次第に拳がプルプルと震えた。怒りの余り、顔に血が集まり、熱を持って赤く染まっていくのを感じた。
「一体、どうしたらそんなことになるのだ!!」
そう叫ぶが早いか、再びドアが開くともう1人、士官が報告にやって来た。顔面蒼白で息咳切っていた。
「今度は何だ!?」
「ハッ!ヴォルイニ連隊と共に鎮圧に向かっていたプレオブラジェンスキー連隊、モスクワ連隊も叛乱に同調ッ!!首都守備隊の殆ども叛乱に同調しています!!」
「他の連隊もか!?」
先程、報告に来た士官は驚き、手を額に当てた。吾輩も例外ではなく報告が信じられずに、机にドッカリと項垂れた。ここまで吾輩がショックを人前に見せたのは初めてだろう。
こんな態度になるのには首都守備隊が反乱に同調を起こしただけが理由ではない。もっと深刻なことが起きたことを理解したからだ。
「……そこの士官、プレオブラジェンスキーと言ったのか?何かの間違いだろ?ありえない……モスクワ連隊やヴォルイニ連隊が裏切ろうとあの連隊が裏切るはずがない…!だってあの連隊は……」
近衛連隊、近衛歩兵の第一連隊なのだぞ………。
そう言いかけて立ち上がろうとしたところで目眩がし、フラついた。
こんな言い方はおかしいがモスクワ連隊やヴォルイニ連隊が叛乱を起こすならまだ理解はでき
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