忠臣の軌跡
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するとバギィッ!という音ともに鋼鉄製の枷が破壊される。
どうやら目覚めたようだ。
蜘蛛男2と呼ばれたその怪物はムクリと起き上がるとギョロギョロと辺りを見渡すと天を仰ぎ、吠えた。
「ウォォォォ!!!ムォォォ!!!」
怪物の産声が手術室に響き渡り、ガラス越しの見学室にまで振動が伝わる。
「フフッ、さっすが。ショッカーのコピー品とはいえ中々に強そうじゃない♪」
女はまるで幼子のように嬉しそうにはしゃいでいたが、吾輩はそのおぞましい姿に目が離せなかった。目を離せば、襲いかかってくるような気がした。
「他のの改造人間達の製造も順調に進んでおります。この調子なら明日にはすべて完成するかと」
科学戦闘員は手術室のさらに奥を手で指し示した。
その方向を見ると蜘蛛男2が寝ていた手術台の隣にも同じような手術台が何台も並んでおり、それぞれ蝙蝠、蠍などの特徴を持った怪物が寝かされていた。
これ程の怪物の軍勢を何に使うつもりなのだろうか。まともなことでないのは確かだ。
「き、貴様らの狙いは何だ?この改造人間や戦闘員、進んだ技術力を使って何をするつもりなんだ!?」
「うーん、我らが偉大なる首領様の御思想を武力を以て、世界に広めることですかね?」
女の返答に言葉を失った。
部力を以て世界に思想を拡大する……つまりゲルダム団は『世界征服』を目的にしているというのだ。
いや、そう言えばこの女は『ショッカー』なる組織も同志と呼んでいた。恐らくはその組織もゲルダム団と同じく世界征服を目指しているのだろう。
世界征服を目論むいくつもの暗黒の組織が手を組んで、暗躍しているという事実に震えてしまった。
「さぁ、お待たせしました。首領様のところへ行きましょうか」
そう言うと女は吾輩の手を取り、手術室の外へと引っ張って行った。
―――――――――――――――――――――――――――――――
廊下は奥に進むにつれて薄暗く、不気味なオーラを放っていた。女はある距離から吾輩の手を引くのをやめ、後ろに回った。
しばらく歩くとまた扉が目の前に現れた。もう、これで2,3度目だ。
しかし、今回はさっきまでの頑丈そうな扉とは異なり、木製の両開き戸だった。一見、ただの扉だがその向こうからは何か得体の知れない生ぬるい気配がした。吾輩は固唾を飲み、ゆっくりと扉を開いた。
結論から言うと中には誰もいなかった。
内装はありふれたキリスト教の教会と変わらなかった。
左右に配置された横長の信者席、ステンドグラスの窓、奥には祭壇だってあった。
地下特有の真っ暗な空間に戦闘員がいくつものかがり火を運び込む。炎の明かりが、ステンドグラスや天井を
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