忠臣の軌跡
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様々な疑問が頭の中に渦巻く。
そのせいか、エレベーターでの移動はものの数十秒だったが体感時間では数分のことのように感じた。
リフトが最深階に到達し、重厚な扉が機械音を立てて左右に開く。
目の前に広がったのは、ここが地下なのかと思うほど広大な空間。そこには―
「ギーッ!」
「ギーッ!」
「は?何だ……こいつらは?」
そこでは青、黄色からなるカラフルなコスチュームを着た男達がナイフを手に、何やら訓練をしていた。
そのあまりの奇抜な光景に思わず声が出てしまった。
それに気づいてか奇怪な男達は吾輩と女の姿を見て、そそくさと一箇所に集まり、整列した。
そして両手を胸の前でクロスさせると叫んだ。
「「「ギーーーッ!!」」」
「彼らは戦闘員です。信者の中でもとりわけ信仰心の強い者にゲルパー剤という薬剤を飲ませることで作り出しました」
女が耳元で囁く。
戦闘員……そうか、彼らはこの教団の私兵なのか。
戦闘員とは本来、正規軍の構成員などを指す用語ではあるが、おそらく"戦闘要員"の略称なのだろう。
「そのゲルパー剤というのも教団が作った薬剤なのか?」
「はい。そのゲルパー剤ですが、これは服用した者の身体能力を常人の4倍ほどにまでに大幅に向上させる奇跡の妙薬です。ちなみに我が教団において戦闘員とはこれを服用して戦闘要員となった信者のことを指します」
すると女は腰に手を当てて猫背になると軽く笑いながら舌を出し、少し困ったような顔をして見せた。
「まぁ、欠点が無いわけでもないんですよね。
薬剤で身体能力を強制的に上げさせているからか身体への負荷が大きすぎるみたいで……その、3時間に1回服用しないと炎上、爆死してしまうんです」
特に悪びれる様子もなく淡々と言う女の様子に不快感を覚えたのは言うまでもない。何が妙薬だ。それでは劇薬ではないか。
まぁ大方、裏切り防止のためでもあるのだろう。教団のみがゲルパー剤を保持し続けている限りは戦闘員達は教団に生殺与奪を握られていることになるため、裏切るなどという選択肢は選べないはずだ。
ゲルパー剤か………、冷酷ではあるが組織運営の面から見れば非常に合理的かつ効率的だ。
おそらくこの組織を束ねる首領という人物は中々の合理主義者なのだろう。
「次の場所に行きましょうか」
「次だと?教祖にはいつ会えるのだ?」
「まあ、お待ちを。この次の場所を見せ終えたら、首領様の元に御案内しますから……」
また長い廊下を数分程、歩くと頑丈そうな扉にぶち当たった。女は一言、「着きました」とだけ言った。
エレベーターの時以上に重厚そうな扉の上には『改造手術室』と書いてあった。ご丁寧に
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