忠臣の軌跡
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グラムに過ぎません」
「ほ、ホログラ?」
「ホログラムです。我がゲルダム団の科学陣が開発したもので、空間に映像を浮かび上がらせるいわば次世紀の技術です」
次世紀の技術。そんなものをたかがアフリカの宗教団体が開発できるわけがない。
列強諸国が開発できないものをただの密教集団が開発できるわけがない。
これは幻なのではないか?過酷な現実から逃れようと脳が見せている幻覚・幻聴なのではないだろうか?
「それだけではございません。ミサイルに、ロボット兵器、スーパーコンピューター……どれも数十年先の技術・科学力を我が組織は有しています」
何ということだ。
吾輩にはそれらの技術が一体、何なのかは分からなかったがこの世界に革新をもたらすかもしれないものなのは直感で感じた。
本当にこの組織を指導する教祖という人物は優れた人物なのかもしれない。
「しかし、本当にすごいのはここからです」
すると女はさらに奥へと進み、吾輩も後に続いた。
ある程度、進むと頑丈な扉が立ちふさがり、その横には1から10までの数字が書かれたボタンと手型が並んでいた。
女は後ろを振り向き、吾輩の顔を見つめるとこれ見よがしに4桁の番号を押した。続いて手型の方に自身の右手を押し当てる。
ピッ!とどこからか電子音が鳴り、正面の扉が開いた。中はエレベーターだった。
女が何やら数字を打ち込んだり、手を押し当てるなどしていた機会な行動はどうも鍵の類だったらしい。
ついさっきの絵画……ホログラムといったか、それに比べれば見栄えはないが、これもまた数十年は先を行った技術なのは分かった。
「この下です。ここから先き我が教団の首領様と外部にひた隠しにしている、いわば最高機密があります。………こちらから誘っておいてなんですが後戻りするなら今ですよ?」
―覚悟がないのなら帰れ。
遠まわしではあったが、急に能面のようになった女の表情と低くなった声色からそれが伝わってきた。
一瞬、迷ったがここで帰れば、かつての栄光は取り戻せず、この底辺のような生活を続ける羽目になる。
吾輩は覚悟を決めた。
ここまで来たらこの教団の深層部を覗いてやろう。
教祖が何者なのかも暴いてやろう。
「いや、後戻りはしない。連れて行ってくれ」
「フフッ、分かりました」
――――――――――――――――――――――――――――――――
吾輩は女と共にエレベーターに乗り込んだ。
開き戸がゆっくりと閉まり、地下へと降りていく。
これから何を見せられるのだろうか?ホログラムや電子鍵よりもすごい発明など想像もつかない。
それに教祖は何故、吾輩を呼んだのだ?
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