忠臣の軌跡
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がとうございます!では、ついてきてください!!」
ハイテンションになった女についていくと都市特有の入り組んだ薄暗い路地裏を抜け、寂れたバーの中に入る。
店内は非常に洒落てはいたが、客の数が全く無い。
店内を警戒しながら女についていく。従業員しか入れないような店の奥に通されると、非常に長い廊下が続いていた。
「おい、本当にここなのか?バーの中にある宗教団体なんて聞いたことないぞ?」
「ここであってますよ、もうすぐ首領様のおられるところですよ」
明るい表情のまま女は言い、歩を進める。
間もなく教祖のところだと言ったが一体、どこにいるというのだろうか?このバーの店主が教祖なのだろうか?
そうこう考えていると突然、女が通路のど真ん中で立ち止まった。通路の壁面には不気味な絵が額縁入りで飾りている。
描かれているのは鷲に絡みつく蛇。さらにその下には無数の骸骨が横たわっている。題をつけるとしたら『死神の晩餐会』。
そんな不気味な絵の前で女は立ち止まり、絵をじっと見つめる。
嫌な予感がする。
「まさか、この絵が教祖だなんて言わないだろうな?」
吾輩が質問をしても女は黙ったままだった。
……まったく、舐められたものだ。
沈黙を肯定と受け取った吾輩は怒りが脳天に達し、力強く握り拳を作る。
女だろうが男だろうが関係ない。この女は吾輩をこんな場末の場所まで連れてきておいて肝心の教祖とやらをこんな不気味な絵だと主張する気なのだ。
人を侮辱するとどうなるのか分からせてやろうと拳を振りかぶる準備をした……その時、
「なっ!?」
ブラックは目の前で起きている光景が信じられなかった。絵が突然、水面のように波打ち始めたのだ。すると女はその絵の中に手を突っ込んだ。まるで水がいっぱいに入った桶の中に手を入れているようでもあった。
スルリと女の姿が絵の中に消える。
確か、東洋ではこのようなことを『狐に化かされた』というらしいが、この状況はまさにそれだ。
「ついて来てください」
絵の中から声がする。
意を決して飛び込むと無機質な薄暗い地下室のような空間に出た。少し先には大きな開き戸があり、その前に女が待ち構えていた。女は「こっちです」と更に奥へと手招きする。
「驚かせてすみません。ちょっと驚かせたくて」
女は軽く笑ってみせたが、とても一緒に笑う気にはなれなかった。それよりも先程、体験した未知の技術の方が気になった。
女はそれを見越したのか語り始めた。
「先程、貴方はあの絵が教祖かと尋ねられましたが、それは違います。我が教団の教祖であられる首領様はもっと気高く尊いお方です。それにあの絵はただのホロ
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