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SHOCKER 世界を征服したら
忠臣の軌跡
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た筈の世界がすっかり様変わりしたものだ。今でもこれが現実なのかとたまに実感がわかないことがある。

ブラック将軍は目を細めると、ゆっくりと瞑った。
すると彼の記憶はゲルダム団入団前の帝政ロシア陸軍時代へと遡っていった。
それらは彼からすれば、過ぎ去りし日の、それも文字通り"人間"だった頃の記憶だが非常に懐かしく思えた。
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全てはこの国を救う為に!全てはより良き明日の為に!我が偉大なる皇帝陛下(ツァーリ)に栄光あれ!!





あの男の忠誠心は見上げたものだ。それ故に彼は反逆者を許さず、笑いながら反逆者を殺せる。――畏怖の念を込めて、そう評されるロシア帝国陸軍の将軍、それがブラックである。


戦場で彼の名を聞けば敵だけでなく味方からも恐れられた。
というのも彼は降伏した敵国の兵士に対して平然と残虐行為を行うことで有名だったからだ。だがこの残虐行為も彼に言わせれば"捕虜をとる手間を省いている"だけであり、彼の"戦場におけるささやかな楽しみ"でもあった。

そもそも彼は諦めることが大嫌いであった。それ故に降伏というものも嫌いだった。これらは繋がらないように聞こえるが降伏とは即ち、戦うことを諦めたことを意味する。よって彼の前で降伏した者は例えそれが武装解除した敵兵であろうが自国にいる反乱軍であろうが皆殺しにした。


しかし、そんな彼の行動は国内において一度も問題視されたことは無かった。というのも彼は代々、ロマノフ家に仕えてきた将軍を歴任してきた由緒ある家系の出自だからだ。歴代皇帝に仕えてきたということもあって国内における彼の家の権力の強さは皇族に次ぐものである。
誰も問題にしたがらなかったし、そもそも敵はロシア帝国、ひいては皇帝(ツァーリ)に仇なす賊軍であるため、多少の行為は目を瞑られた。
日露戦争や反乱分子の掃討作戦など当時、帝政ロシアが参戦したほぼ全て戦争、軍事行動で指揮を執り、国軍の中枢を担っていた彼を失うことを皇帝ニコライ2世が危惧したからとも言われている。
対するブラックもそのことに気づいていた。そして自分に便宜をかけるニコライ2世に対する忠誠心を一層、熱くしていた。


『陛下への忠誠こそ我が人生、我が誇り』

ブラックの心は常に祖国、そして皇帝(ツァーリ)と共にあった。




1917年。この時、ブラックは40歳。
当時、ロシア帝国はサラエボ事件を発端とする大戦で連合国側に立ってドイツ帝国と戦争を行っていた。
後に第一次世界大戦と呼ばれる史上稀に見る大戦争である。近代化の面で一歩先をいっていたドイツ・オーストリアはロシア帝国を蹂躙し、次々と有力なロシア側の軍勢を破っていった。
そこで皇帝自ら、戦場で軍
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