忠臣の軌跡
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1978年 ゲルダム州 州都コンゴエリア
ショッカーが世界征服を達成してから4年後―。
統一後間もなく、世界はショッカー及びその下部組織に分割された。
東アジア及びユーラシア大陸にはショッカーが治めるショッカー直轄州、北米大陸にはGOD機関が治めるGOD州、南米大陸はゲドンが治めるゲドン州、豪州大陸はデルザー軍団が治めるデルザー州が、ヨーロッパはネオショッカーが治めるネオショッカー州が、地下及び深海はバダンが治めるバダン州が、月などの地球外惑星はゴルゴムが治めるゴルゴム州がそれぞれ設置された。
その中でも旧アフリカ大陸はショッカーの下部組織の一つ、ゲルダム団によって統治されていた。そして州行政長官にして、ゲルダム州の権力を一手に掌握している男こそ、ゲルダム団大幹部、ブラック将軍である。
「イノカブトンよ、此度の不穏分子鎮圧の功績を讃えて貴様をアルジェリアエリアの行政長官に任命する」
「ハッ!ありがたき幸せでございます」
ゲルダム州の州都、コンゴエリアにある大ショッカー党コンゴ支部では地方エリアの行政長官の任命式が行われていた。任命式といっても執務室の中でのみ執り行われる簡易的なものであるがイノカブトンからすればそんなことは関係なく、大幹部から任命されるので最高の栄誉である。
やがて式が終わり、イノカブトンは意気揚々と退室する。それを見たブラック将軍は溜息をつくと大量の書類に目を通した。財政状況や新規改造人間の補充などゲルダム州の内政に関するものである。ある程度、書類に目を通すとブラック将軍はパラパラとめくる。その姿は軍人というよりはもはや立派な統治者だった。
この数年間、各組織の大幹部達には大首領の為、世界の為、ショッカーの為にどれほど迅速に、かつ安定的に統治を行えるかが試されてきた。
元々、政治に疎かった者もこの数年間で鍛えられ、今ではすっかり各州や各エリアにおいて絶対的な権力を有する統治の最高責任者として君臨している。
並の人間なら権力に溺れ、私利私欲に走り、腐敗を起こす。それを防ぐための大幹部による直接統治体制である。
州の最高責任者を大首領に仕えることを至上の喜びとしているショッカー最強クラスの怪人集団である彼らにすることにこそ意味があるのだ。
一般怪人では最高責任者として不適合であり、成り上がれたとしても精々、地方エリアの統治者が限界である。
(※野心高く、自己保身に陥りやすい大幹部には裏切り防止の為に大首領親衛隊が秘密裏に査察を行っている。ヨロイ元帥やデルザー軍団の大幹部がこれに相当する)
粗方の書類に目を通すとブラック将軍は椅子の背もたれにもたれかかる。
かつて祖国を失い、主を失い、名誉まで失って灰色に見えてい
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