SAO編ーアインクラッド編ー
01.現実の終わり
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ト・オンラインを創った。そして今、全ては達成せしめられた』
茅場晶彦のアバターは、眈々とした口調で説明のように声をあげる。その声は冷酷で無感情の機械のような声だ。
「ふざけてやがる……茅場晶彦」
右手を強く握り締める。
掌に爪が食い込んでわずかな痛みが走る。
それすらもこの世界では現実の痛みに等しいのだ。
『以上でソードアート・オンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君健闘を祈る』
ローブアバターは登場した時とは逆再生のように空中へと消え去り、空は再び夕日に染まる。
もはや先ほどの非現実的なことさえもなかったかのように。
これは現実だ、と頭は何度もその言葉を繰り返していく。
彼のインタビューのときの台詞が頭をよぎる。
───これは、ゲームであっても遊びではない。
これは文字通りの意味だったんだ。
「きゃあぁぁ!!」
一人少女の叫びの後にプレイヤーたちの不安と恐怖を押さえ込んでいた糸が切れたかのように慌てだした。
怒りを表す者、泣きじゃくる者、何もできない者……そして動き出す者。
この広場からの離脱を妨げていた不可視の壁が姿を消す。プレイヤーたちの波を掻き分けて広場から離脱する。
目指すのは次の街だ。
この辺りの狩場はこの騒ぎが鎮まればこのゲームを生き抜こうとする者たちが狩り尽くすだろう。
それなら次の街に行って効率良くレベリングをした方が攻略が楽になる。
「ちょっと待ってよ!」
はじまりの街を出ようとした時、後方からの声に足を止める。
振り返ると同い歳くらいの少年がいた。少し長めの黒い髪。女性に見えなくもない顔立ちの少年がそこにいた。
「なんだ、お前も次の街に向かうのか?」
黒髪の少年は浅く頷く。
この少年とどこかで会ったことがあるような気がする。
だが、顔立ちや容姿には全く見覚えはない。
それでも、どことなくアイツに似ていた。
βテストの時とともに前線を駆け、背中を預けた相棒の姿に……
「……キリト?」
少年は目を見開く。
「……シュウ?」
彼が名を呼ぶ。それはやはり少年の正体はβテスト時代に相棒だったプレイヤー。
───キリトだ。
「キリト、お前がいて安心した」
キリトに向けて右の拳を突き出す。キリトは、少し懐かしむような表情を見せてから右の拳を突き出す。二つの拳がぶつかり合う。
「もうこれはゲームじゃない」
言葉にキリトは頷いた。
βテストの時のような無茶苦茶なレベリングも自爆特攻覚悟の攻略も邪魔なプレイヤーを殺すPKも何もできない。
これは現実なのだから……。
「俺はこのゲーム……死んでも生き
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