暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 前編
Prologue
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―正確には、学校に行かなくなった。雅貴が通っていたのはごく普通の公立中学校であり、もちろん義務教育だから、中退は出来なかった。結果、当時まだ中学二年生だった雅貴は義両親に、

・自分はこれから、原則的には学校へは行かないこと
・これから数ヶ月、家で勉強してから仕事を始めること
・中学を卒業した段階で、一人暮らしを始めること
・一人暮らし中は自分の稼ぎで食べていくため、仕送りは要らないこと

 の4つを伝えた。もちろん義両親は反対したが、雅貴にこの選択を改めさせることは、ついに出来なかった。

 同級生たちが自分から離れていく中で、この二人だけは自分のことを家族として温かく接してくれていたため、その2人の恩を仇で返すような真似をしたことは雅貴の心に少しだけ自責の念を発生させたし、このことで二人に恨まれるだろうと考えると悲しくもなったが、これも自分のためだと、雅貴は強引に納得した。

 が、例えどんな天才であろうと、中学生がする仕事などがそこらへんに転がっているはずはなかった。その上、下手に仕事をした場合、法に抵触してしまう。だから雅貴は校長の下に出向き、「対外模試の時だけは登校して、学校の偏差値を上げる代わりに、合法的に就労できる許可を与えてもらう」「それが不可能な場合には、今すぐ他の中学校へ転校する」といった交渉をした。そしてこの校長、自身の出世のために学校の偏差値を上げることに非常に熱心な人物であり、あろうことか二つ返事で承諾してしまった。

 これにより、法に触れることは回避できた雅貴だったが、現実的な問題として、おいそれとどこかの企業に就職できるはずも無かった。そのために雅貴が目をつけたのは、人と直接顔を合わさなくても行えるホワイトハッカー(ハッカーのうち、新しいプログラムの開発をしたり、サイバー攻撃からのコンピューターの防衛をしたりと、その知識を善良な目的に活かす職で、雅貴はこのうち後者を選んだ)と、研究職、特に、当時話題に上ることが多く、なおかつ小型化が進み、エレクトロニクス技術やナノテクノロジーといったものが重要視されるコンピューター技術と互換が可能な量子物理学の分野だった。

 わずか3ヶ月で、しかも独学でこれらの知識を頭に詰め込み、博士号まで取得した雅貴は、両親の遺産で当時最先端だった2台のデスクトップコンピューターと1台のノートパソコンを購入。自室で活動を始めたのだった。

 初めの1ヶ月ほどは、雅貴が学会で発表する度、会場中で笑いが巻き起こった。発表を拒否されたことも少なくなかった。しかし、雅貴が発表した一つの論文がアメリカの有力な科学雑誌で賞を取ると、雅貴が唱えた説が次々と証明されていき、雅貴は量子物理学界全体から一目置かれる存在として学者の頭の中に刻まれていった。すると、どこから雅貴のことを知ったのか
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