始まりから夏休みまで
大魔女と画狂の共同戦線の話
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小物の証だよ…っ!」
「黙れ!黙れ黙れ黙れ黙れェッ!!」
蹴る、蹴る、蹴る。
蹴られ、転がされ、痛いはずなのに彼はそれでもやめない。
助けに行こうとはした。
けど、
「友作くん…!?」
立ち上がろうとした僕の肩を、友作くんがおさえる。
「待て葛城…あいつは、暮馬は何かしようとしている。」
「何かって何を!?早く助けに行かないと…!」
「マイ、駄目だ。」
「…お栄ちゃんまで!?」
友作くんも、お栄ちゃんも暮馬くんを助けに行っては行けないと言う。
「今は駄目だ。あいつの努力を無駄にする訳にはいかないだろ。」
「今はダメって…今助けないでいつ助けるのさ!」
「ふーっ」
「ひゃあぁ!?」
耳に息を吹きかけられ思わず変な声をあげる。
こんなときにこういったことをするのは決まってる。
「お栄ちゃん…!!」
「まぁ見てナ。じきにおれ達の出番が来る。」
と、お栄ちゃんにおさえられ、僕はじっとしていることにした。
なぜ二人は助けないんだ。
彼は体を張って怪我をしてまであんなに頑張ってるのに…見殺しになんかできない。
いや…
「…!!」
ここで、僕もやっと彼の真意に気付く。
「そうか…暮馬くん…!」
蹴飛ばされ、ボールのように転がされる彼。
そうだ。ああやって挑発したのも自分が"蹴られる"ことを想定してやっていたんだ。
そうやって転がされれば…。
「へへ…かかったな…!!」
知らず知らずのうちに、彼は廃ビルの敷地内に入っていた。
「キルケーさん!!お願いします!!!!」
あらん限りの声で叫ぶと、廃ビルの敷地内すべてが透明な壁に覆われる。
「なんだ…なんだよこれ!?」
「ボール遊びする時は危ないところに入っちゃいけないって、ママから教わらなかったのかよ!」
慌てる桐生。
周囲を見渡すも、360度どこを見ても抜け道はないしどこにも逃げられる隙間はない。
そう、怪我をして走ることが出来なくなった暮馬くんはどうやって桐生を敷地内に誘い込むか考えたんだ。
プライドは高い桐生は挑発されればそれは乗る。
傷付いた弱者に煽られれば尚更だ。
そうして暮馬くんは桐生を蹴るよう誘導し、入らせた。
ただ無謀に煽ってたんじゃない。
全ては彼の命懸けの計算のうちだったんだ。
「こんな見え見えの罠にひっかかりやがって…だからお前は小物なんだよ!!」
「お前…お前ェェーッ!!」
今までで1番の力で思い切り蹴飛ばされる。
暮馬くんは咳き込み、そしてフラフラと立ち上がった。
「くそ犬!!こいつを殺せ!!両手両足を切り落としてからじわじわと殺してやる!!」
"何か"が動く。
得物が暮馬くんの首めがけ振るわれる。
しかし
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