始まりから夏休みまで
大魔女と画狂の共同戦線の話
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すぐ側にあった街灯。
それが真っ二つに切れ、音を立てて落ちた。
もしそのまま走って逃げていれば、彼も街灯と同じ道を辿っていただろう思うと僕でさえぞっとした。
「ッ!」
自分の使命を思い出し、暮馬は立ち上がって走る。
目指すは廃ビル内。その敷地内まで桐生を入れればいい。
「なんだ?逃げんの?まぁどうしようがキミはもうどの道死ぬんだけどさァ!!」
ドッ、と桐生のそばに居た何かが地面を蹴る。
目には見えないが、"何か"が物凄いスピードで暮馬くんへと迫る。
ここから離れていても感じる、恐ろしい殺気。
それを直に背中で感じている暮馬くんは想像以上の恐怖と戦いながら走ってるはずだ。
「ほーら、逃げても無駄。大人しく殺された方が苦しくなくて楽だよ〜?」
「…ッ!!」
走る。ただ走る。
余計な事は考えず、ただ彼は廃ビルの敷地内へ入ることだけを考える。
3メートル、2メートル…
距離は段々と縮む。
それと同時に暮馬くんを追いかける"何か"との距離もだ。
そしてあと一歩、もうひと踏ん張り。
そう思った時だ。
「がっ!?」
"何か"が、暮馬くんの膝の裏を切り裂いた。
吹き出る鮮血。
味わったことの無い痛みに彼は思わず転んでしまう。
「おーおー、無様なもんだねぇ。」
走った勢いは殺しきらず、派手に転がって倒れた暮馬くんに桐生が歩み寄る。
「くそ…っ!もうちょっとなのに…っ!」
這ってでも彼は行こうとする。
だが
「逃げんなよ。小バエ風情が。」
追いつかれてしまい、手の甲を思い切り踏まれる。
踵をぐりぐりとめりこませ、思わず苦悶の表情を浮かべる暮馬くん。
対する桐生は笑顔のまま、狂ったように笑いながら彼を踏み続ける。
「ははは!!あっはははははは!!折角の努力も無駄に終わっちゃったねぇ!てかそもそも逃げられると思ったぁ?ざーんねーん!!僕のこの力からは逃れられませーん!」
「…っ、ぐぅっ!」
しかし彼はそれでも進もうとする。
「お前…何その顔。」
歯を食いしばり、恐れなど感じさせない眼差しを桐生に向けて。
「バッカじゃねーの…こんなんで…ビビると思ってんのかよ…!!」
「黙れよ!いつもいつも小バエみたいに周りをチョロチョロしやがって!!」
それは、彼のプライドを簡単に傷つけた。
「ごっ!?」
一思いに殺す前に、まず自分が制裁を加えてやる。
そうとでも言いたげに桐生は暮馬くんの脇腹に蹴りを入れた。
「…はは、前から…思ってたんだよ。ちいせぇ人間だなぁって。」
「うるさいッ!」
また、蹴飛ばされる。
けど暮馬くんは喋ることを辞めない。
「そうやって…最終的には暴力に頼るんだもんな…立派な
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