始まりから夏休みまで
大魔女と画狂の共同戦線の話
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ね。釣るならまず相手を油断させなきゃダメなんだ。」
「じゃあどうすんだい?」
詰んだ、というのだろうか。
このままでは別の作戦を考えなければならなくなる。
そう行き詰まった時だ。
「あの…。」
沈黙した空間の中、暮馬くんが控えめに手を挙げた。
「なら…俺にいい考えがあります…。」
?
深夜。
作戦決行は日が変わる頃と決めそれまでに英気を養うことにした。
まぁ僕は精気を搾り取られたわけだけど…面白くないか。
さて、作戦内容はキルケーが話した通りなのだが…
「暮馬くん…大丈夫かな…。」
囮役となるはずだった僕は今こうして、友作くんやキルケー、お栄ちゃんと一緒に廃ビル近くの物陰に身を隠している。
そう、暮馬くんは
(やっべぇ…めっちゃ怖ぇ。)
自ら囮役を買って出たのだ。
葛城ほどの効果があるのかは分からないけど、きっと俺も殺す対象なんだ。だから俺が囮になる。
いい作戦とは、自分が囮になることだった。
「さぁな…ともかく今は暮馬がうまくやれることを願いながらヤツが来るのを待つ。キルケー、いつでもいけるよう準備しておけ。」
「ふふ…平気さ。私を誰だと思ってるんだい?」
自信満々な大魔女さん。
対して僕の胸中は不安でいっぱいだった。
どうして…彼は危険なことを自ら進んでやろうとしたのだろう。
自分が死ぬかもしれないのに。握りしめた拳が、あんなにも震えているのに…。
「葛城!」
「!」
友作くんがなるべく小声で僕を呼ぶ。
彼の指さした方向には
「来たぞ…。」
不気味な笑みを浮かべながら、革靴特有の足音をたててやってきた桐生の姿があった。
「あれぇ?誰かと思えば狩井 暮馬くんか。こんな時間に、しかも人気のないところで何してるんだい?」
「あ、あぁ…散歩…だよ。」
怖い気持ちを抑えながら、彼は必死に平静を装いつつ桐生と話す。
「お、俺さ…散歩して…こういう廃墟めぐりとか好きなんだよね…は、はは。」
「へー。陰気なキミらしい趣味だね。お似合いだよ。」
皮肉たっぷりに言い、それに対して暮馬くんは苦笑い。
「き、桐生はどうしてここに?そ、それにお前しばらく学校来なくってさぁ…みんな心配してたんだぜ?」
「まぁそうだね。強いて言うなら"ニオイ"を辿ったら君がいた感じかな。あとその点に置いては心配ないよ。」
「…?」
空気が、変わった。
「その心配してたって奴ら、もう全員殺したから。」
「っひぃ!?」
腰を抜かした、と言えばいいか。
暮馬くんは何かの殺気を感じ取り、思わずその場で腰を抜かし倒れる。
しかし、それが良かった。
「あー残念。もう少しで死ねたのに。」
彼の
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