始まりから夏休みまで
大魔女と画狂の共同戦線の話
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間。」
「そう。社会の奴隷の労働者、重労働をさせられる者、また家のない者。そして自分の手下だったもの。彼から見ればそれは、自分よりもずっと下の人間なのさ。」
「そんな…酷過ぎるだろ…!」
暮馬くんが思わずそう口にする
確かに彼らはただその日その日を必死に生きていただけなのに…。
そんな人の命を奪える権利なんて…彼にはない。
「そしてだ。彼の最終目的…それは…。」
「僕と…お栄ちゃんですよね?」
「あたり。中々勘が鋭いじゃないか。」
そんなの、分かる。
ある意味桐生の人生を転落させたのは僕だ。
女性に一方的にボコボコにされるという恥を仲間の前で見せ、泣きながら逃げ帰ったあの日。
彼は殺してやる…そう呟きながら帰って行った。
恨んでいない訳が無い。
「そして、その前にキミだ。えーと…」
「暮馬…狩井…暮馬です。」
「そう。キミも桐生を助けず逃げ出した1人だからね。いずれ見つけ出し殺しに来るだろう。」
彼はそれを察知し、だから僕に助けを求めた。
この作戦は、彼を救うための作戦でもある。
「さて、今までの監視で見たところ桐生とかいうやつはプライドだけは高いがその実はバカだ。単純な罠に引っかかるほどのね。」
そういい、キルケーは友作が持ってきた紙を受け取ると机の上に広げて見せた。
この街の地図だ。
「だから囮作戦を使い、彼を捕える。」
「囮…作戦。」
あえて敵の前に姿を現し、捕える。
しかしそれは魚を釣る時のように"エサ"が必要だ。
当然、エサになる人の危険性は高い。
桐生が一体どんなモノを使って殺人を犯しているのかは知らないけどそれだけは確かだ。
そして問題は
「誰がエサになるかなんだけど…そうだね。」
キルケーが僕を見る。
「彼が一番恨みを持っているのは間違いなくキミだろう。囮役にはもってこいだ。」
囮役は僕になった。
作戦はこうだ。
この街には建設途中で計画が頓挫し、そのままになった廃ビルがある。
この敷地内までに"エサ"を使って桐生をおびき寄せ、そこからキルケーが魔術で結界を発動。
そこに閉じ込め、お栄ちゃんが桐生を捕らえるといったものなのだが…。
「ところでキミ…運動経験は?」
「あんまり…ないです。」
「運動に自信はあるかい?足が早いとか。」
「ないです…遅いしよく転びます。」
「はぁー…。」
とんでもなく大きなため息をつくキルケー。
仕方がないじゃない。僕は元より運動は苦手なんだから。
それに
「マイにそんな危険なことさせられるか。なんならおれが囮になろうかい?」
そんなことはお栄ちゃんがまず許さなかった。
「いやダメだ…キミの場合さすがのあいつでも警戒するだろう。1度やられているから
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