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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
アスカリの持ちたる国〜ヴァンフリート民主共和国〜(下)
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るのだから。
「そして我々のその強固な精神は絶対的な正義ーー即ち普遍的な人権と自由の擁護を一人一人の兵士が市民として理解しているからであります。そうであらば、最後には勝利が齎させるのは必然となるのです!」
そうだ!と見るからに下士官上がりの議員がこぶしを突き上げている。
まるで巡航艦隊を指揮して突撃する時のようだ、とグリーンヒルまで若い頃を思い起させた。まぁいい、この演説の内容だ、やるのならとことん青臭い頃を思い起こしてやろう、と調子に乗る、という50を越した高級軍人には些か必要な戦度胸を奮い立てる。
「自由惑星同盟の歴史が始まった時から、我々は絶えず変化を推し進めてきました。それは専制主義が残した傷跡と戦う永続的な平和革命に他なりません。 それは、着実に進むゴールデンバウムという腐敗した木を切り倒す為の革命であり、その為に我々は武器を作り出すかのごとく、労働と知恵で暴君から奪われたものを少しづつ作り上げ、社会の傷を癒してきました。
そこには我々の国父達が逃れてきた強制収容所も、逃走を阻む衛兵も必要ありませんでした。我々が追求する社会は、自由の旗の下で自由の民たちが、友好的な文明的社会を力を合わせる築き上げる姿そのものであります。それこそが今、この時に我々が戦う理由なのです」
青臭い、ニヒリストが腹を抱えて笑いそうなことである。だがこれもまた【交戦星域】にとっては笑い事ではないのだ。
「我々は人類の普遍的な自由と権利を搾取するルドルフの残骸から同盟市民と帝国の虐げられた人々のもとに取り戻し、真の自由と対話により築かれた文明をこの銀河に産み落とす為に戦っているのです。
我々が希求する世界は、皇帝を僭称したルドルフとその走狗たちが虐殺と恐怖によって作り上げたオリオンに根差した専制主義が生みだす病巣のまさに対極にあります。
かの如き圧政に対して、我々は偉大な概念で対抗すのです。優れた理念により作られた社会は、人類支配の企てにも恐れを抱こうとも対峙することができるのです」
息が詰まった。いよいよだ、いよいよこのほらを吹くときが来たのだ。”キングフィッシュ・ヨブ”が責任を逃れたのか、”シトレ校長先生”が賭けの負の面を押し付けたのか、”ラザールの親父”が見栄を張っていっちょ噛みしようとしたのか。
いやどれでもいい。エルファシルの魔術師の前座であろうとこのステージに昇ると頷いたのは自分なのだ。
今のこの時だけは――自分の物語だ。
「そして――」
声がかすれた。咳払いをする
「失礼、そして――私は、自由惑星同盟の歴史で前例のない時期に際し、このヴァンフリート議会という場を拝借し、皆様に自由惑星同盟軍についてお話しする機会をいただけたことに感謝いまします。
【前例のない時期】 という言葉を使うのは、自由惑
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