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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
アスカリの持ちたる国〜ヴァンフリート民主共和国〜(下)
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耐と対話により、我々はこれを黄金律とし、友好の輪を築き上げるものです。
しかし国家間の争いでは一度も永遠の平和が達成されることはありませんでした。地球統一政府、シリウス政府、銀河連邦、これらは全て平和と平等を求め、そして破綻し、戦争と虐殺を引き起こしてきました。
 ですがそれでも、いいえ、だからこそ我々には民主共和制と議会主義が必要なのです。
我々がこれを放棄し、絶対的な指導者に頼ろうとする時にこそ、破滅的な暴虐が再び私たちに到来することになるでしょう。
 先達が失敗したのは統一政府において利害の対立の解決を専制と暴力によって解決しようとしたからであります。そう!オーディーンに巣食う専制主義者達のごとく!」
 張りのある声は彼がただ物静かな参謀ではなく、第五次イゼルローン作戦で兵を叱咤しかの要塞に肉薄した艦隊司令官の一人であることを多くの者達に思い出させた。

「我々の専制主義帝国に対する優位は軍事のみならずそれを支える社会的優位でありましょう。我々の優位は国家を構成する一人一人の市民の精神に由来するものであり、それは私たちの比類なき過去2千年にも遡る科学、芸術、文学、そして物質的で文化的発展を支えてきた自由精神の前進にあります。
自由惑星同盟を構成する諸国民は出自の違いを乗り越えた新たな自由な国、分け隔てなく互いに尊重し合いながら共存する共同体の集合体として自由惑星同盟を発展させてきました。私たちの父祖による圧政からの独立、そしてそれを死守し続けてきた歴史もまた分け隔てなくこの国に暮らす全ての人々に受け継がれているのです。
だからこそ、我々は共有する価値観により団結した人々により社会的な優越を勝ち得ている事に疑念を持ちません。
私たちが、この銀河に住まう人類を救う際に用いる国家の総力とは物質的な実力のみならず私たちが受け継いできた独立の歴史、専制主義から抜け出した記憶、民主と共和を尊ぶ精神をも武器とすることで勝利するのです」

「自由惑星同盟という国家が銀河帝国に優越する要素の一つとして、慈愛深い国民、同胞愛を抱いていることは疑いの余地がありません。
しかし我々は、専制主義が引き起こす侵略行為に対してその慈愛深い心を向ける事はないのです。
国内問題についての我が国の政策が、われわれの国内にいる多様な人々の権利と尊厳に対する適切な敬意と民主共和制という社会正義に対する信仰に基づいているのと全く同じように、我が国の安全保障政策は、大小を問わずすべての国の権利と尊厳に対する適切な敬意とそれを脅かす敵へ屈しないという強固な精神に基づいております」

 そうだ!そうだ!とヴァンフリートの議員達が喝采をあげる。モハメド・カイレも満足そうに頷いている事だろう。
 ここまでは良いのだ。自由惑星同盟軍と【交戦星域】の利害の一致を確認してい
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