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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第59話:最悪の鶴の一声
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ドスクレイパーを構え翼達と相対した。
今この瞬間、ジェネシスは完全に敵となった。
しかもその背後では、カ・ディンギルが月に向けて砲撃を放とうとしている。それが放たれ、月が穿たれた時、地表にどれ程の被害が齎されるか。想像もできないが、ただ月が見えなくなると言うだけでは済まされないだろう。
「くぅ────!?」
翼は冷や汗を流した。状況はかなり悪い。敵はこちらの倍、質も量も向こうが上だ。しかもこちらは戦力の一角である颯人を欠き、彼の生死が不明な現状に奏の精神が不安定となっている。そして精神の不安定化はシンフォギア装者にとってそのまま戦力のダウンに繋がってしまう。
危機感を抱かずにはいられない。
その翼の前で、奏が徐に立ち上がった。
「か、奏?」
「奏さん!?」
先程まで心折れたと思っていた奏が突然立ち上がった事に、翼と響が彼女を見る。
奏は自分が注目されている事に気付き、奏は2人に笑みを向けた。それは翼達から見ても明らかに無理をして作っている笑みだが、そこには確かに絶対に折れまいとする強い意志を感じさせるものだった。
「颯人は、きっと大丈夫だ。あいつがこんな事で死ぬ訳がない…………そう信じてる」
「奏…………うん、きっとそうよ!」
「そうですよ! 颯人さんだったら、ここぞってところでひょっこり出てきます!」
「けっ! あのふざけたペテン師が、こんな所で簡単にくたばるタマかっての!」
強い意志の力で持って自らを奮い立たせる奏に、翼と響、クリスが続いた。彼女達が闘志を取り戻すのを見て、透もメデューサ達を力強く見据えた。
5人が戦う意思を見せたのを見て、メデューサ達も殺気を強める。
「止められるものなら、止めてみせろ!!」
「忌々しいシンフォギア装者と裏切り者……今日こそは!」
「テメェら全員、地獄に叩き落してやるぜ!」
「行くよ、皆!」
「えぇ!」
「はい!」
「おう!」
奏の声を合図に、装者はシンフォギアを纏い透はメイジに変身する。
そして遂に、戦いの幕が切って落とされた。
***
一方地下では、現状を少しでも好転させようと二課職員達が駆けずり回っていた。彼らはそれぞれ、通信などの再開や本部に繋がるシェルターの生存者の救出と役割を分担して行動している。
その中にウィズの姿はない。アルドから報告を受けるなり、彼は一目散に司令室を後にしてしまった。
あとに残されたアルドは、何も言わずに姿を消したウィズに文句を口にする事も無く二課職員を手伝っていた。
「誰か、助けてよぉぉぉッ!」
そこで突然聞こえる、助けを求める声。どうやら近くのドアから聞こえるようだ。アルドは大体の見当を付けて声
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