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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第59話:最悪の鶴の一声
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が持っていた。その事に奏は嫌な予感がどんどん強くなるのを感じ、呼吸が荒くなる。

 そんな彼女の様子に、メデューサは然も愉快と言いたげに颯人がどうなったのかを口にした。

「ウィザードなら死んだよ。木端微塵になってな」
「ッ!?!?」
「なっ!?」
「そんなッ!?」
「嘘だろ!?」

 メデューサから聞かされた颯人の末路に、奏は勿論翼も響も、クリスですら言葉を失った。透も悲痛な顔をするが、それでも隙は見せまいと心を律し周囲に対する警戒を強めた。相手の心を揺り動かし隙を作るのはメデューサの常套手段だという事を知っているからである。

 颯人の死と言う事実に、奏は足から力が抜けその場にへたり込んでしまう。それを見てフィーネは喜悦に顔を歪めて声高々に叫んだ。

「これが私の願いの邪魔をした者の末路。そしてこれこそが私の長年の悲願!」

 次の瞬間大地が揺れ動いた。一瞬地震かと思ったがそうではなかった。

 揺れに合わせて地面から突き出る巨大な柱。天をも貫かんばかりに聳え立つその姿に、奏以外の全員が目を見張る。

「あ、あれはッ!?」
「これこそがカ・ディンギル! 今宵私は月を穿ち、人々の相互理解を妨げる呪いを打ち砕き、世界を再び一つに束ねるのだ!」

 想像を絶するカ・ディンギルの出現とフィーネの野望に、装者達は言葉を失った。

 しかし、フィーネの野望を聞いて黙っていない者達が居た。メデューサ達ジェネシスの魔法使いだ。

「待て! 貴様、月を穿つだと? そんな事は聞いていないぞ!?」
「言ったら、お前たちは私に協力したか?」
「する訳がない! 月はミスター・ワイズマンがサバトを行う為に必要不可欠な存在。それを奪われるなど、看過できる訳がないだろうが!?」

 ジェネシスが行うサバトは、日蝕により高まった魔力が必要不可欠なのだ。自然・意図的関係なく、日蝕でなければサバトに必要な魔力は得られない。それは魔法使いを増やして戦力を増強させたいジェネシスにとっての死活問題でもあった。

 だがそもそも、彼女は何故月を破壊したいのだろうか?

「櫻井女史、いやフィーネ! 月を穿つなど、何故そのような事を!?」

 別に答える必要も無い煩わしい質問。しかしフィーネは、覇気を失い座り込む奏と装者達を守る為か前に出た透、そして彼に寄り添うように立つクリスを見て口を開いた。

「私はただ、あの御方と並びたかった。その為に、あの御方へと届く塔を、シンアルの野に建てようとした。だがあの御方は、人の身が同じ高みに至る事を許しはしなかった! あの御方の怒りを買い、雷霆に塔が砕かれたばかりか、人類は交わす言葉まで砕かれる。果てなき罰、『バラルの呪詛』をかけられてしまったのだ!」

 そのバラルの呪詛の源こそが月
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